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『沖縄~東京 ピースカーニバル2010』
2010.10.3 SUN
東京・青山 EATS and MEETS CAY
時間:OPEN 14:30 START 15:00
料金:¥3,500(当日)/ ¥3000 (予約→peacecarnival(at)gmail.com) ※(at)を@に置き換えてください。
席種:自由席または立ち見
【出演】
大熊ワタル(ジンタらムータ)
うつみようこ+河村博司(ex;ソウル・フラワー・ユニオン)
GoRo,MAYA & ISH! IGURO
寿[kotobuki]
シーサーズ
たける
知花竜海
monk beat
Likkle Mai(Band Style)
【映像】
小林アツシ「基地はいらない、どこにも」短縮版
比嘉真人「やんばるからのメッセージ」
【出展】
ゆんたく高江、他
【トーク】
知花竜海(Peace Music Festa!辺野古2010 実行委員会)、他
EATS and MEETS Cay tel. 03-3498-5790 (月~金 12:00~21:00)
住所:〒107-0062 東京都港区南青山5-6-23 SPIRAL B1F
チケットのご予約 お問い合わせ; peacecarnival(at)gmail.com) ※(at)を@に置き換えてください。
(お名前、ご連絡先、枚数をお知らせください。
当日、予約を確認のうえ予約料金にてご入場いただきます。)
イベントblog ; http://d.hatena.ne.jp/peacecarnival/
主催;ピースカーニバル実行委員会
『沖縄~東京 ピースカーニバル2010』
2010.10.3 SUN
東京・青山 EATS and MEETS CAY
時間:OPEN 14:30 START 15:00
料金:¥3,500(当日)/ ¥3000 (予約→peacecarnival(at)gmail.com) ※(at)を@に置き換えてください。
席種:自由席または立ち見
【出演】
大熊ワタル(ジンタらムータ)
うつみようこ+河村博司(ex;ソウル・フラワー・ユニオン)
GoRo,MAYA & ISH! IGURO
寿[kotobuki]
シーサーズ
たける
知花竜海
monk beat
Likkle Mai(Band Style)
【映像】
小林アツシ「基地はいらない、どこにも」短縮版
比嘉真人「やんばるからのメッセージ」
【出展】
ゆんたく高江、他
【トーク】
知花竜海(Peace Music Festa!辺野古2010 実行委員会)、他
EATS and MEETS Cay tel. 03-3498-5790 (月~金 12:00~21:00)
住所:〒107-0062 東京都港区南青山5-6-23 SPIRAL B1F
チケットのご予約 お問い合わせ; peacecarnival(at)gmail.com) ※(at)を@に置き換えてください。
(お名前、ご連絡先、枚数をお知らせください。
当日、予約を確認のうえ予約料金にてご入場いただきます。)
イベントblog ; http://d.hatena.ne.jp/peacecarnival/
主催;ピースカーニバル実行委員会
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385笑わない数学者Mathematical Goodbye
★★ 森博嗣
384白い夏の墓標
★★★ 帚木蓬生
383儚い羊たちの祝宴
★★★★ 米澤穂信
382スティームタイガーの死走
★★ 霞流一
381楠木正成 異形の逆襲
★ 火坂雅志
★★ 森博嗣
384白い夏の墓標
★★★ 帚木蓬生
383儚い羊たちの祝宴
★★★★ 米澤穂信
382スティームタイガーの死走
★★ 霞流一
381楠木正成 異形の逆襲
★ 火坂雅志
★★
作者: 森博嗣
出版社: 講談社
S&Mシリーズの第3巻。
犀川創平助教授とその生徒・西之園萌絵は「天才数学者」天王寺翔蔵博士の住む、三ツ星館を訪れ、クリスマスパーティーに参加します。姿を現さない博士は、参加した人たちにプラネタリウムを見せました。その最中に庭にたっている巨大なオリオン像を消してみせ、翌日にはもとに戻すと彼は告げました。12年前にも同じことをやってみせた博士。いったいどうやって・・?翌日、言葉通り、オリオン像はもと通りになっていました。しかも、その像の前には死体が転がっていました・・・
ミステリとしてはかなり分かりやすいです。けど、やっぱり面白い。
最後まで謎が残されたところがとても印象的でした。いろいろと考えることが出来て、興味深いです。いったい誰が笑っているのか。
人類史上最大のトリックは、「人々に神がいると信じさせたことだ」という犀川創平の言葉がとても印象的でした。いつもながら気障な台詞が格好良いです。ついでに「天才数学者」天王寺翔蔵博士もなかなか格好良いような感じのことを言いまくります。
ミステリとして読まなくても面白いです。
自森人読書 笑わない数学者Mathematical Goodbye
作者: 森博嗣
出版社: 講談社
S&Mシリーズの第3巻。
犀川創平助教授とその生徒・西之園萌絵は「天才数学者」天王寺翔蔵博士の住む、三ツ星館を訪れ、クリスマスパーティーに参加します。姿を現さない博士は、参加した人たちにプラネタリウムを見せました。その最中に庭にたっている巨大なオリオン像を消してみせ、翌日にはもとに戻すと彼は告げました。12年前にも同じことをやってみせた博士。いったいどうやって・・?翌日、言葉通り、オリオン像はもと通りになっていました。しかも、その像の前には死体が転がっていました・・・
ミステリとしてはかなり分かりやすいです。けど、やっぱり面白い。
最後まで謎が残されたところがとても印象的でした。いろいろと考えることが出来て、興味深いです。いったい誰が笑っているのか。
人類史上最大のトリックは、「人々に神がいると信じさせたことだ」という犀川創平の言葉がとても印象的でした。いつもながら気障な台詞が格好良いです。ついでに「天才数学者」天王寺翔蔵博士もなかなか格好良いような感じのことを言いまくります。
ミステリとして読まなくても面白いです。
自森人読書 笑わない数学者Mathematical Goodbye
★★★
作者: 帚木蓬生
出版社: 新潮社
主人公は佐伯教授。彼はパリの国際ウイルス会議に出席し、講演を行います。その直後、突然全く面識のない元学者の老人から声を掛けられました。彼はベルナールと名乗りました。ベルナールは、事故死したと伝え聞いていた元同僚・黒田が実は事故死ではなかったと告げます。佐伯は半信半疑ながらも、ベルナールに教えたられたピレネー近くの田舎へと赴き、黒田の墓と対面し、墓を守る女性ジゼルと出会うのですが・・・
帚木蓬生のデビュー作。
ミステリーか、もしくはサスペンスに分類されるような作品。孤独な男だった黒田はどのように生きたのか。それを旧友・佐伯がしっかりと追い、ゆっくりと解き明かしていきます。
静かな物語です。派手さはないけれど、重みがあります。物語は一本道のようにまっすぐ続いています。だから、けっこう単調です。だんだんと飽きてきます。でも、細部にわたる丹念な風景描写が素晴らしいです。臨場感があります。
作者・帚木蓬生が医者だからか、細胞などについての説明が細かいです。半分くらいは理解できなかったです。難しい・・・
良心を完全に失った悪人は登場しません。帚木蓬生の、人への信頼のようなものが表れた作品。読んでいて心地よいです。
自森人読書 白い夏の墓標
作者: 帚木蓬生
出版社: 新潮社
主人公は佐伯教授。彼はパリの国際ウイルス会議に出席し、講演を行います。その直後、突然全く面識のない元学者の老人から声を掛けられました。彼はベルナールと名乗りました。ベルナールは、事故死したと伝え聞いていた元同僚・黒田が実は事故死ではなかったと告げます。佐伯は半信半疑ながらも、ベルナールに教えたられたピレネー近くの田舎へと赴き、黒田の墓と対面し、墓を守る女性ジゼルと出会うのですが・・・
帚木蓬生のデビュー作。
ミステリーか、もしくはサスペンスに分類されるような作品。孤独な男だった黒田はどのように生きたのか。それを旧友・佐伯がしっかりと追い、ゆっくりと解き明かしていきます。
静かな物語です。派手さはないけれど、重みがあります。物語は一本道のようにまっすぐ続いています。だから、けっこう単調です。だんだんと飽きてきます。でも、細部にわたる丹念な風景描写が素晴らしいです。臨場感があります。
作者・帚木蓬生が医者だからか、細胞などについての説明が細かいです。半分くらいは理解できなかったです。難しい・・・
良心を完全に失った悪人は登場しません。帚木蓬生の、人への信頼のようなものが表れた作品。読んでいて心地よいです。
自森人読書 白い夏の墓標
★★★★
著者: 米澤穂信
出版社: 新潮社
連作短編集のようなもの。『身内に不幸がありまして』『北の館の罪人』『山荘秘聞』『玉野五十鈴の誉れ』『儚い羊たちの晩餐』収録。
『身内に不幸がありまして』
お嬢様に仕えることに至上の喜びを見出している夕日と、お嬢様の物語。そんな些細なことで人を殺すのか・・・ と気味悪さを感じました。
「ラスト一行の衝撃にこだわり抜いた」作品群だそうです。でも、最後にオチがくるというだけのはなし。あまりアッと驚かされることはなかったです(『山荘秘聞』だけは別だけど)。むしろ、全体に漂う暗い、というか黒い雰囲気が良いです。殺人が起きたりもするのですが、どの事件の加害者もみな動機がおかしいです。普通ではない、というか。
随所に読書会「バベルの会」が登場します。もしかしたら、『儚い羊たちの祝宴』に収録されている全ての物語は「バベルの会」の人たちの妄想(創作)なのかも、と思ってしまったのですが、どうなのだろう。そうだとすると・・・
最後の『儚い羊たちの祝宴』がまた良いです。少し物足りない気もしたけど、全体をきちりとしめています。もしかしたら彼女が創った「バベルの会」が「過去のバベルの会」を勝手に創り出したのではないか(「過去のバベルの会」は妄想上のものだということ)。『儚い羊たちの祝宴』こそが最初の物語なのではないか。だとすると全てはひっくり返って・・・
自森人読書 儚い羊たちの祝宴
著者: 米澤穂信
出版社: 新潮社
連作短編集のようなもの。『身内に不幸がありまして』『北の館の罪人』『山荘秘聞』『玉野五十鈴の誉れ』『儚い羊たちの晩餐』収録。
『身内に不幸がありまして』
お嬢様に仕えることに至上の喜びを見出している夕日と、お嬢様の物語。そんな些細なことで人を殺すのか・・・ と気味悪さを感じました。
「ラスト一行の衝撃にこだわり抜いた」作品群だそうです。でも、最後にオチがくるというだけのはなし。あまりアッと驚かされることはなかったです(『山荘秘聞』だけは別だけど)。むしろ、全体に漂う暗い、というか黒い雰囲気が良いです。殺人が起きたりもするのですが、どの事件の加害者もみな動機がおかしいです。普通ではない、というか。
随所に読書会「バベルの会」が登場します。もしかしたら、『儚い羊たちの祝宴』に収録されている全ての物語は「バベルの会」の人たちの妄想(創作)なのかも、と思ってしまったのですが、どうなのだろう。そうだとすると・・・
最後の『儚い羊たちの祝宴』がまた良いです。少し物足りない気もしたけど、全体をきちりとしめています。もしかしたら彼女が創った「バベルの会」が「過去のバベルの会」を勝手に創り出したのではないか(「過去のバベルの会」は妄想上のものだということ)。『儚い羊たちの祝宴』こそが最初の物語なのではないか。だとすると全てはひっくり返って・・・
自森人読書 儚い羊たちの祝宴
★★
作者: 霞流一
出版社: 勁文社
戦前に活躍したミステリ作家・大阪圭吉に捧げられた作品。
コハダトーイという玩具会社を創った小羽田伝介は、幻の機関車・C63型蒸気機関車を再現。息子にプレゼントします。息子は「虎徹号」と命名し、それを中央線で走らせようとしました。しかし、そのお披露目の日、出発駅である北別府駅で死体が発見されます。しかも、「虎徹号」が虎のお面を被った2人組に乗っ取られ・・・・・
最後の最後に、面白い仕掛けがあります。
霞流一は「バカミスの第一人者」といわれているそうですが確かに阿呆らしく(その上かなり残酷)、すっ呆けたような謎解きと展開が多いです。だけど、僕はもっとアッと言わせてほしかったので、いまいち釈然としない気もしました。たとえば、鯨統一郎が書いているような作品こそがバカミスなのではないか。なので、あまり高い評価にならないです。
まぁ作品自体の「バカっぽさ」はかなりのもの。バカの力が遺憾なく発揮されています。登場人物たちと彼らの奇天烈な挙動はなかなか面白いです。とくにキラリ(蜂草輝良里)という針師の女性がおかしい。警察にもつてがある人、一応の探偵役。
合わない人は合わないだろうアクの強い作品。
自森人読書 スティームタイガーの死走
作者: 霞流一
出版社: 勁文社
戦前に活躍したミステリ作家・大阪圭吉に捧げられた作品。
コハダトーイという玩具会社を創った小羽田伝介は、幻の機関車・C63型蒸気機関車を再現。息子にプレゼントします。息子は「虎徹号」と命名し、それを中央線で走らせようとしました。しかし、そのお披露目の日、出発駅である北別府駅で死体が発見されます。しかも、「虎徹号」が虎のお面を被った2人組に乗っ取られ・・・・・
最後の最後に、面白い仕掛けがあります。
霞流一は「バカミスの第一人者」といわれているそうですが確かに阿呆らしく(その上かなり残酷)、すっ呆けたような謎解きと展開が多いです。だけど、僕はもっとアッと言わせてほしかったので、いまいち釈然としない気もしました。たとえば、鯨統一郎が書いているような作品こそがバカミスなのではないか。なので、あまり高い評価にならないです。
まぁ作品自体の「バカっぽさ」はかなりのもの。バカの力が遺憾なく発揮されています。登場人物たちと彼らの奇天烈な挙動はなかなか面白いです。とくにキラリ(蜂草輝良里)という針師の女性がおかしい。警察にもつてがある人、一応の探偵役。
合わない人は合わないだろうアクの強い作品。
自森人読書 スティームタイガーの死走
★
著者: 火坂雅志
出版社: 光栄
神風が吹かず、蒙古(モンゴル)によって鎌倉政権が滅ぼされてしまった架空の世界が物語の舞台です。蒙古の支配は長年にわたり、その間に抵抗は全て押し潰されたかに見えました。しかし、その蒙古に対して叛旗を翻す男が現れます。その名は、楠木正成。彼は後醍醐天皇を奉じて、力戦し、日本の独立を目指します。
歴史シュミレーションとしては乱雑すぎ。展開は都合が良すぎ。全てが非常に甘いです。これだからif歴史小説は評価されないのだ、と感じました。
と、批判していまいましたが、僕はif歴史小説がけっこう好きです。if歴史小説に付きまとうどうしようもない安っぽくて荒っぽい感じ、そのいかにもキナ臭い感じが面白いのです。あと、if歴史小説には作者の思想や好き嫌いがはっきりと表れます。そこも面白い(といいつつ、結局★1つですが)。
というわけで、『楠木正成 異形の逆襲』もそれなりに楽しませてもらいました。
暇つぶしにちょうど良い小説。
そういえば、『天地人』が大河ドラマになったけど、火坂雅志の歴史小説のレベルは全般的にかなり低い、と僕は思っています(『天地人』も、愛だのなんだのと綺麗ごとばかりが飛び出す酷い小説なので、途中で放り投げてしまった)。彼の作品をあえて読もうとは思わないです(ひどい言い草ですが・・・)。むしろ、伝奇ものが本領なのではないか。
自森人読書 楠木正成 異形の逆襲
著者: 火坂雅志
出版社: 光栄
神風が吹かず、蒙古(モンゴル)によって鎌倉政権が滅ぼされてしまった架空の世界が物語の舞台です。蒙古の支配は長年にわたり、その間に抵抗は全て押し潰されたかに見えました。しかし、その蒙古に対して叛旗を翻す男が現れます。その名は、楠木正成。彼は後醍醐天皇を奉じて、力戦し、日本の独立を目指します。
歴史シュミレーションとしては乱雑すぎ。展開は都合が良すぎ。全てが非常に甘いです。これだからif歴史小説は評価されないのだ、と感じました。
と、批判していまいましたが、僕はif歴史小説がけっこう好きです。if歴史小説に付きまとうどうしようもない安っぽくて荒っぽい感じ、そのいかにもキナ臭い感じが面白いのです。あと、if歴史小説には作者の思想や好き嫌いがはっきりと表れます。そこも面白い(といいつつ、結局★1つですが)。
というわけで、『楠木正成 異形の逆襲』もそれなりに楽しませてもらいました。
暇つぶしにちょうど良い小説。
そういえば、『天地人』が大河ドラマになったけど、火坂雅志の歴史小説のレベルは全般的にかなり低い、と僕は思っています(『天地人』も、愛だのなんだのと綺麗ごとばかりが飛び出す酷い小説なので、途中で放り投げてしまった)。彼の作品をあえて読もうとは思わないです(ひどい言い草ですが・・・)。むしろ、伝奇ものが本領なのではないか。
自森人読書 楠木正成 異形の逆襲
砂漠の惑星では、ハハと呼ばれる装置が荒れた大地を耕し、様々な種子を撒いていました。ハハの後ろ側には、緑があらわれました。なので、そのハハに寄生して生きるものたちもいます。そういった生き物のなかに、ニジダマもいました。ニジダマは、交易人の世話をしていたとき、憧れてしまい・・・
SF小説。
ここまで素朴な小説を書けてしまう人が、今でも日本にいたとは思いませんでした。非常に整っています。読んでいると、退屈になってきてしまいます。組み立てられた世界自体は面白そうだとは思いますが、想定の範囲内です。そして、人物描写も、それほどくっきりしていません。
一味二味足りないです。足りないものが多すぎて、なんとも言い難いのですが・・・
抒情的な作風で知られていると著者は自己紹介しますが、そういう感じはしません。なんというか抑えられています。あえて、なのかも知れません。
読んだ本
藤田雅矢『星の綿毛』
★★★
著者: 遠藤周作
出版社: 新潮社
「イエス・キリスト」とはどんな人だったのか?
それは多くの人が抱き、追求してきた問いです。『イエスの生涯』は、優れた文学者でありながら、悩み多きキリスト教信者でもあった(日本人でありながら、キリスト教を信ずることは矛盾するのではないか、と彼は悩んでいたという)、遠藤周作が彼なりに思索し、イエス・キリストという人のことを読み解いていった結果生まれた彼のイエス像を綴ったものです。
あとがきでは、井上洋治が「永遠の同伴者としてのイエス」こそがこの本のテーマである、と書いています。全くその通りで、人類全体に寄り添い、1人ひとりを慮り、一生を送った人イエスという人のことが書かれています。
「右の頬を打たれたならば、左の頬を差し出せ」という言葉が象徴している、といわれますが、キリスト教の根本には「博愛」という思想があります。そこに遠藤周作も注目しているようです。
作中で、遠藤周作は「キリストは、神の愛、愛の神を説いた」というふうに書いています。神を、それまでの(たとえばユダヤ教の)罪に対して残酷な罰をくだす厳格な父ではなくて、罪人ですら愛する母として説いたから、イエスが支持を受けたという考え方は非常に面白いと感じました。
つまり弱き者のためにある、のか・・・
しかし、どうして博愛を説いたキリスト教が、ヨーロッパ中世において権力者の支配の道具になり下がってしまったのか。遠藤周作は、そういうふうにして変わってしまった「キリスト教」をぶち壊し、それを再び普遍的なもの(たとえば、日本人にも通ずるもの)として捉え直そうとしているようですが、そこには共感します。
自森人読書 イエスの生涯
著者: 遠藤周作
出版社: 新潮社
「イエス・キリスト」とはどんな人だったのか?
それは多くの人が抱き、追求してきた問いです。『イエスの生涯』は、優れた文学者でありながら、悩み多きキリスト教信者でもあった(日本人でありながら、キリスト教を信ずることは矛盾するのではないか、と彼は悩んでいたという)、遠藤周作が彼なりに思索し、イエス・キリストという人のことを読み解いていった結果生まれた彼のイエス像を綴ったものです。
あとがきでは、井上洋治が「永遠の同伴者としてのイエス」こそがこの本のテーマである、と書いています。全くその通りで、人類全体に寄り添い、1人ひとりを慮り、一生を送った人イエスという人のことが書かれています。
「右の頬を打たれたならば、左の頬を差し出せ」という言葉が象徴している、といわれますが、キリスト教の根本には「博愛」という思想があります。そこに遠藤周作も注目しているようです。
作中で、遠藤周作は「キリストは、神の愛、愛の神を説いた」というふうに書いています。神を、それまでの(たとえばユダヤ教の)罪に対して残酷な罰をくだす厳格な父ではなくて、罪人ですら愛する母として説いたから、イエスが支持を受けたという考え方は非常に面白いと感じました。
つまり弱き者のためにある、のか・・・
しかし、どうして博愛を説いたキリスト教が、ヨーロッパ中世において権力者の支配の道具になり下がってしまったのか。遠藤周作は、そういうふうにして変わってしまった「キリスト教」をぶち壊し、それを再び普遍的なもの(たとえば、日本人にも通ずるもの)として捉え直そうとしているようですが、そこには共感します。
自森人読書 イエスの生涯
★★★★★
著者: 手塚治虫
出版社: 講談社
「アドルフ」というファーストネームを持つ男たちの物語。ナチスドイツを率いるアドルフ・ヒトラー。ナチス党員の父と日本人の母の間に生まれたハーフ、アドルフ・カウフマン。ドイツから神戸に亡命したユダヤ人の少年、アドルフ・カミル。彼ら3人は時にめぐり合い、ぶつかり合います。そんな中、「ヒトラーにはユダヤ人の血が流れていた」という情報を巡って、いろんな人が密かに暗闘を繰り広げ、3人もそれに巻き込まれていきます・・・・・
狂言廻しは日本人、峠草平。
とにかく面白いです。ベルリンオリンピック、ゾルゲ事件などいろんな歴史的事実が散りばめられています。歴史好きにはたまらないはず。
でも、別に歴史が好きではないという人でも楽しめるようになっています。物語の主人公は、主にカウフマンとカミルの2人なのですが、彼らの間には一時友情が生まれます。しかし、ナチス党員とユダヤ人がいつまでも友達でいられるはずがなく、彼らの関係は歴史の渦の中で歪んでいきます。そこらへんが非常によく描かれています。
手塚治虫の漫画はどれも面白いけど、『アドルフに告ぐ』はとくに面白いです。
そういえば、ラストはあまりにも哀しいです。
自森人読書 アドルフに告ぐ
著者: 手塚治虫
出版社: 講談社
「アドルフ」というファーストネームを持つ男たちの物語。ナチスドイツを率いるアドルフ・ヒトラー。ナチス党員の父と日本人の母の間に生まれたハーフ、アドルフ・カウフマン。ドイツから神戸に亡命したユダヤ人の少年、アドルフ・カミル。彼ら3人は時にめぐり合い、ぶつかり合います。そんな中、「ヒトラーにはユダヤ人の血が流れていた」という情報を巡って、いろんな人が密かに暗闘を繰り広げ、3人もそれに巻き込まれていきます・・・・・
狂言廻しは日本人、峠草平。
とにかく面白いです。ベルリンオリンピック、ゾルゲ事件などいろんな歴史的事実が散りばめられています。歴史好きにはたまらないはず。
でも、別に歴史が好きではないという人でも楽しめるようになっています。物語の主人公は、主にカウフマンとカミルの2人なのですが、彼らの間には一時友情が生まれます。しかし、ナチス党員とユダヤ人がいつまでも友達でいられるはずがなく、彼らの関係は歴史の渦の中で歪んでいきます。そこらへんが非常によく描かれています。
手塚治虫の漫画はどれも面白いけど、『アドルフに告ぐ』はとくに面白いです。
そういえば、ラストはあまりにも哀しいです。
自森人読書 アドルフに告ぐ
★★
作者: 蒼井上鷹
出版社: 双葉社
短編集。『大松鮨の奇妙な客』『においます?』『私はこうしてデビューした』 『清潔で明るい食卓』『タン・バタン』『最後のメッセージ』 『見えない線』『九杯目には早すぎる』『キリング・タイム』収録。
『大松鮨の奇妙な客』
蓑田は頼まれて不倫疑惑がある男性を尾行します。その男は、寿司ネタを残しておいて、それを特製茶碗蒸しに放り込み、ぐちゃぐちゃにして食おうとして店から追い出されました。いったいなんためにそんなことをしたのか?
蒼井上鷹のデビュー作。
5つの短編と4つの掌編(ショートショート)が収録されています。小物が抱く、どうしようもない悪意を上手に書く作家、と解説で紹介されていましたが、その通りだと感じました。少しサイコホラーっぽいです。若竹七海と似ているかも知れません。
オチが見事にきいている短編はなかなかに面白いです。しかし当たり外れも激しくて、つまらない短編は全然面白くないです。
ただ、文章は具体的な描写が多く、それでいて深いわけではなく、非常に読みやすいです。だから、ぱぱっと読めます。暇つぶしにぴったりということができるかも知れません。少し、阿刀田高に似ている気がします。
まぁ悪くはないのですが、もう少し個性的な部分がないと目にとまらない気もします。あと、似たような短編ばかりなので、最後のほうになるとしだいに飽きてきます。けれど、蒼井上鷹という作家には期待します。面白い短編・掌編をこれからたくさん書いてくれるのかも知れない。
自森人読書 九杯目には早すぎる
作者: 蒼井上鷹
出版社: 双葉社
短編集。『大松鮨の奇妙な客』『においます?』『私はこうしてデビューした』 『清潔で明るい食卓』『タン・バタン』『最後のメッセージ』 『見えない線』『九杯目には早すぎる』『キリング・タイム』収録。
『大松鮨の奇妙な客』
蓑田は頼まれて不倫疑惑がある男性を尾行します。その男は、寿司ネタを残しておいて、それを特製茶碗蒸しに放り込み、ぐちゃぐちゃにして食おうとして店から追い出されました。いったいなんためにそんなことをしたのか?
蒼井上鷹のデビュー作。
5つの短編と4つの掌編(ショートショート)が収録されています。小物が抱く、どうしようもない悪意を上手に書く作家、と解説で紹介されていましたが、その通りだと感じました。少しサイコホラーっぽいです。若竹七海と似ているかも知れません。
オチが見事にきいている短編はなかなかに面白いです。しかし当たり外れも激しくて、つまらない短編は全然面白くないです。
ただ、文章は具体的な描写が多く、それでいて深いわけではなく、非常に読みやすいです。だから、ぱぱっと読めます。暇つぶしにぴったりということができるかも知れません。少し、阿刀田高に似ている気がします。
まぁ悪くはないのですが、もう少し個性的な部分がないと目にとまらない気もします。あと、似たような短編ばかりなので、最後のほうになるとしだいに飽きてきます。けれど、蒼井上鷹という作家には期待します。面白い短編・掌編をこれからたくさん書いてくれるのかも知れない。
自森人読書 九杯目には早すぎる
★★★
著者: 辺見庸
出版社: 文藝春秋
『自動起床装置』
眠りというものと真摯に向き合う「起こし屋」聡。ぼくは彼に触発され、仮眠室に眠る男達をうまく目覚めへと導くべく努力していました。ですが、昼間の毒気を吐き出すように眠る人たちと向き合う日々が終わる可能性がでてきました。自動起床装置の試験導入が決定したからです。聡は、「睡眠と覚醒」の過程に機械を持ち込むことに対して怒るのですが・・・
『迷い旅』
私はカンボジアの戦場を旅していきます。何度も引き返そうとするのだけど、なぜかうまくいきません。そうしてたどり着いた先には・・・ ほぼエッセイに近いもの。
『自動起床装置』は芥川賞受賞作。
機械化があらゆるところに忍び込み、自然な感覚を破壊しているという主張はまぁありきたりなのだけど、「眠り」を用いてその主張を掘り下げていくところが面白い、と感じました。けっこう深いものがあります。主人公の考えが曖昧なところも良いです。作者の主張を主人公が代弁してしまうようになっていたら、ちょっとなぁと思ったかも知れないけど、そういうふうな構造にはなっていません。不思議な雰囲気を持っている聡が語るからこそ、良いと感じます。
芥川賞を受賞していますが、辺見庸はもともとジャーナリストだそうです。今では、反米主義、反右傾化を公言し、活動しています。力強いと感じます。その力強さは、フィクションとノンフィクションを渡り歩いたからこそ生まれたものなのかもしれない。
自森人読書 自動起床装置
著者: 辺見庸
出版社: 文藝春秋
『自動起床装置』
眠りというものと真摯に向き合う「起こし屋」聡。ぼくは彼に触発され、仮眠室に眠る男達をうまく目覚めへと導くべく努力していました。ですが、昼間の毒気を吐き出すように眠る人たちと向き合う日々が終わる可能性がでてきました。自動起床装置の試験導入が決定したからです。聡は、「睡眠と覚醒」の過程に機械を持ち込むことに対して怒るのですが・・・
『迷い旅』
私はカンボジアの戦場を旅していきます。何度も引き返そうとするのだけど、なぜかうまくいきません。そうしてたどり着いた先には・・・ ほぼエッセイに近いもの。
『自動起床装置』は芥川賞受賞作。
機械化があらゆるところに忍び込み、自然な感覚を破壊しているという主張はまぁありきたりなのだけど、「眠り」を用いてその主張を掘り下げていくところが面白い、と感じました。けっこう深いものがあります。主人公の考えが曖昧なところも良いです。作者の主張を主人公が代弁してしまうようになっていたら、ちょっとなぁと思ったかも知れないけど、そういうふうな構造にはなっていません。不思議な雰囲気を持っている聡が語るからこそ、良いと感じます。
芥川賞を受賞していますが、辺見庸はもともとジャーナリストだそうです。今では、反米主義、反右傾化を公言し、活動しています。力強いと感じます。その力強さは、フィクションとノンフィクションを渡り歩いたからこそ生まれたものなのかもしれない。
自森人読書 自動起床装置
★★★★
著者: 海堂尊
出版社: 文藝春秋
桜宮市の東城大学医学部付属病院は、天才外科医・桐生恭一を招聘し、彼を中心にして、「チーム・バチスタ」を結成します。桐生恭一は、失敗する確率が非常に高いバチスタ手術を20件以上、次々と成功させていきました。それはチーム・バチスタの奇跡と呼ばれました。ですが、最近になって相次いで3回も手術が失敗。不定愁訴外来の田口医師は、高階病院長に依頼され、その事態を調査するのですが・・・
快作。とても面白かったです。
最初は田口が丹念に事態を調査していきます。単調にならないように、人の書き分けがきちりとなされています。前半だけでも、作者・海堂尊は凄い人だなぁと感じました。
しかし、中盤から「ロジカル・モンスター」白鳥圭輔が登場してくるともっと楽しくなってきます。白鳥は全てをぶっ壊して前進していきます。本当に傍若無人。「ロジカル・モンスター」とか言うわりには、ただ単に相手を怒らせるだけの調査手法も笑えます。
基本的な構造は、古典的なミステリ小説と何も変わらないのに、「医療」という題材が新しいからかなぜか斬新な小説に見えます。あと、社会やマスコミに対する鋭い批判が盛り込まれているところも良かったです。そして、重いテーマを扱いながらも軽快に進んでいくところも読みやすくて良いです。
第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。海堂尊のデビュー作。
自森人読書 チーム・バチスタの栄光
著者: 海堂尊
出版社: 文藝春秋
桜宮市の東城大学医学部付属病院は、天才外科医・桐生恭一を招聘し、彼を中心にして、「チーム・バチスタ」を結成します。桐生恭一は、失敗する確率が非常に高いバチスタ手術を20件以上、次々と成功させていきました。それはチーム・バチスタの奇跡と呼ばれました。ですが、最近になって相次いで3回も手術が失敗。不定愁訴外来の田口医師は、高階病院長に依頼され、その事態を調査するのですが・・・
快作。とても面白かったです。
最初は田口が丹念に事態を調査していきます。単調にならないように、人の書き分けがきちりとなされています。前半だけでも、作者・海堂尊は凄い人だなぁと感じました。
しかし、中盤から「ロジカル・モンスター」白鳥圭輔が登場してくるともっと楽しくなってきます。白鳥は全てをぶっ壊して前進していきます。本当に傍若無人。「ロジカル・モンスター」とか言うわりには、ただ単に相手を怒らせるだけの調査手法も笑えます。
基本的な構造は、古典的なミステリ小説と何も変わらないのに、「医療」という題材が新しいからかなぜか斬新な小説に見えます。あと、社会やマスコミに対する鋭い批判が盛り込まれているところも良かったです。そして、重いテーマを扱いながらも軽快に進んでいくところも読みやすくて良いです。
第4回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。海堂尊のデビュー作。
自森人読書 チーム・バチスタの栄光
★★
著者: 恩田陸
出版社: 集英社
時を越えて巡り合うエリザベスとエドワード。なぜか2人は出会った途端に分かれなければなりません。1974年のロンドン、1932年のロンドン近郊、1944年のロンドン、1871年のシェルブール、1978年のロンドン、1905年のパナマ、1978年のロンドン、1603年のロンドン、1969年のフロリダ、1855年のオックスフォード、1978年のロンドン。物語の舞台は次々と変わっていきます・・・
とてもロマンチックな小説です。
めくるめくメロドラマ、という感じなのですが、SFというか、ファンタジー小説でもあります。歴史ものとしても楽しめます。純粋なミステリーではないけど、大きな謎を追求する小説としても読めます。いろんな要素が入り込んだ、いかにも恩田陸らしい小説。
恩田陸という人の凄さがよく分かる作品なのですが、読んでいてとにかく疲れました。時系列はバラバラだし、章が変わるごとに出てくる人も変わるので混乱するのです(あと、章ごとの落差が激しい気がする。面白いものと面白くないが混在している、というか)。挫折しかけました・・・ よく最後まで読めたものだ、と自画自賛したくなります。
そういえば、萩尾望都の『ポーの一族』を連想しました。雰囲気は似ている、かも知れない。
途中に挟まれた絵画が良い感じです(各章の前に絵画が置かれてあり、章のタイトルはその絵画の名前を貰っている)。
自森人読書 ライオンハート
著者: 恩田陸
出版社: 集英社
時を越えて巡り合うエリザベスとエドワード。なぜか2人は出会った途端に分かれなければなりません。1974年のロンドン、1932年のロンドン近郊、1944年のロンドン、1871年のシェルブール、1978年のロンドン、1905年のパナマ、1978年のロンドン、1603年のロンドン、1969年のフロリダ、1855年のオックスフォード、1978年のロンドン。物語の舞台は次々と変わっていきます・・・
とてもロマンチックな小説です。
めくるめくメロドラマ、という感じなのですが、SFというか、ファンタジー小説でもあります。歴史ものとしても楽しめます。純粋なミステリーではないけど、大きな謎を追求する小説としても読めます。いろんな要素が入り込んだ、いかにも恩田陸らしい小説。
恩田陸という人の凄さがよく分かる作品なのですが、読んでいてとにかく疲れました。時系列はバラバラだし、章が変わるごとに出てくる人も変わるので混乱するのです(あと、章ごとの落差が激しい気がする。面白いものと面白くないが混在している、というか)。挫折しかけました・・・ よく最後まで読めたものだ、と自画自賛したくなります。
そういえば、萩尾望都の『ポーの一族』を連想しました。雰囲気は似ている、かも知れない。
途中に挟まれた絵画が良い感じです(各章の前に絵画が置かれてあり、章のタイトルはその絵画の名前を貰っている)。
自森人読書 ライオンハート
★★
著者: 東野圭吾
出版社: 文藝春秋
連作短編集。『燃える(もえる)』『転写る(うつる)』『壊死る(くさる)』『爆ぜる(はぜる)』『離脱る(ぬける)』収録。
『燃える』
夜中人通りの少ない道で騒いでいた若者の頭が突如発火し、若者が死亡しました。どうして火がついたのか。原因は不明。刑事・草薙に依頼され、湯川学がその謎に挑みます。
『転写る』
刑事・草薙は、姪の文化祭を見にいき、そこで騒ぎに出会います。不思議なデスマスクを見た女性が、そのマスクは失踪した兄に酷似していると言い出したのです。警察が追求すると、デスマスクの出てきた池から死体が発見されます。そのデスマスクはいったい何なのか?
『壊死る』
浴槽で死亡している男が発見されます。死体の胸には奇妙な痣があり、その部分の皮膚が壊死していました。それは何を示しているのか?
『爆ぜる』
アパートで撲殺された男が発見されます。一方、1週間前、湘南海岸で突然爆発が起こり、女性が死亡していました。その2つの事件に関連があるのか。
『離脱る』
本来ならば見えるはずのない光景が見えたと少年が言います。その言葉はある殺人事件の証言になるものだったので警察は混乱します。その証言は本当なのか・・・
ドラマ化されています。福山雅治演ずるガリレオ湯川学が格好良かったです。原作よりもドラマの方が面白かったかもしれない。原作は普通の小説なので。
自森人読書 探偵ガリレオ
著者: 東野圭吾
出版社: 文藝春秋
連作短編集。『燃える(もえる)』『転写る(うつる)』『壊死る(くさる)』『爆ぜる(はぜる)』『離脱る(ぬける)』収録。
『燃える』
夜中人通りの少ない道で騒いでいた若者の頭が突如発火し、若者が死亡しました。どうして火がついたのか。原因は不明。刑事・草薙に依頼され、湯川学がその謎に挑みます。
『転写る』
刑事・草薙は、姪の文化祭を見にいき、そこで騒ぎに出会います。不思議なデスマスクを見た女性が、そのマスクは失踪した兄に酷似していると言い出したのです。警察が追求すると、デスマスクの出てきた池から死体が発見されます。そのデスマスクはいったい何なのか?
『壊死る』
浴槽で死亡している男が発見されます。死体の胸には奇妙な痣があり、その部分の皮膚が壊死していました。それは何を示しているのか?
『爆ぜる』
アパートで撲殺された男が発見されます。一方、1週間前、湘南海岸で突然爆発が起こり、女性が死亡していました。その2つの事件に関連があるのか。
『離脱る』
本来ならば見えるはずのない光景が見えたと少年が言います。その言葉はある殺人事件の証言になるものだったので警察は混乱します。その証言は本当なのか・・・
ドラマ化されています。福山雅治演ずるガリレオ湯川学が格好良かったです。原作よりもドラマの方が面白かったかもしれない。原作は普通の小説なので。
自森人読書 探偵ガリレオ
★★★★
著者: 山本幸久
出版社: 文藝春秋
凹組は、九品仏にあるアパートの一室を借りているデザイン事務所。凪海(なみ)はそこに入社し、大滝、黒川とともに色んな広告や、お菓子の装丁からエロ雑誌のレイアウトまで何でもこなしていきます。そんなある日、慈極園という遊園地から凪海の描いたキャラクターを使わせてほしいという連絡がありました。凪海は愛するキャラクター、デビゾーとオニノスケを世界に発信する機会を得て喜ぶのですが、凹組だけでやるのはきついということで、大きなデザイン事務所QQQに出向することになります。QQQを率いているのは、昔、大滝、黒川とともに凹組を立ち上げた女性、醐宮でした。凪海は、醐宮にQQQへ来ないかと言われます。彼女はQQQをとるか、それとも凹組をとるか迷うのですが・・・
青春小説。
「凹組」という職場は非常に楽しそうです。結局、大滝、黒川らはその凹組という狭い世界に閉じこもってしまうのですが、共感できます。というより、狭いからこそ居心地が良いのだし、本当は別に狭くはないのかも知れないし。
「大きな仕事してやろう!」と意気込むのではなく、小さくまとまって遊んでいる、今の日本の男の姿をきちりと捉えているような気がします。
1つひとつのエピソードの描き方が、あまりにも巧いです。きちりとオチがつき、綺麗に収まっていて、本当に笑えます。安定感がある、というか。
自森人読書 凸凹デイズ
著者: 山本幸久
出版社: 文藝春秋
凹組は、九品仏にあるアパートの一室を借りているデザイン事務所。凪海(なみ)はそこに入社し、大滝、黒川とともに色んな広告や、お菓子の装丁からエロ雑誌のレイアウトまで何でもこなしていきます。そんなある日、慈極園という遊園地から凪海の描いたキャラクターを使わせてほしいという連絡がありました。凪海は愛するキャラクター、デビゾーとオニノスケを世界に発信する機会を得て喜ぶのですが、凹組だけでやるのはきついということで、大きなデザイン事務所QQQに出向することになります。QQQを率いているのは、昔、大滝、黒川とともに凹組を立ち上げた女性、醐宮でした。凪海は、醐宮にQQQへ来ないかと言われます。彼女はQQQをとるか、それとも凹組をとるか迷うのですが・・・
青春小説。
「凹組」という職場は非常に楽しそうです。結局、大滝、黒川らはその凹組という狭い世界に閉じこもってしまうのですが、共感できます。というより、狭いからこそ居心地が良いのだし、本当は別に狭くはないのかも知れないし。
「大きな仕事してやろう!」と意気込むのではなく、小さくまとまって遊んでいる、今の日本の男の姿をきちりと捉えているような気がします。
1つひとつのエピソードの描き方が、あまりにも巧いです。きちりとオチがつき、綺麗に収まっていて、本当に笑えます。安定感がある、というか。
自森人読書 凸凹デイズ
★★★★
作者: 恩田陸
出版社: 新潮社
2002年2月11日午後2時過ぎ。都内郊外の大型商業施設Mで重大な事故が発生し、150名以上の死傷者が出ます。ですが、それなのにその原因が何であったのかまったく特定できません。そして聴き取り調査が始まるのですが・・・
質問形式、つまりQ&A形式で物語が進行していきます。
いったいどうして事故は起きたのか。最初はその謎を追求していたはずなのに、いつの間にか物語は別の方向へとずれていきます。けど、それは「脱線」ではないようです。事故とその周辺のことが延々と書かれていきます。見えないものの怖さを感じました(事故の原因は「偶然」という見えないものみたいだし)。そういう意味ではホラーなのかも知れない。
全体的に気味悪いです。『理由』と同じような趣向かと思いきや、『理由』以上にずれていくし、よく分からない部分がたくさん残ります。いったいぜんたい誰が訊いている側で、誰が訊かれている側なのかすら分からない場合もあります。
宗教絡みのはなしも出てきます。というか、むしろ最後の辺りは宗教に関するはなしになっていきます。その辺りのことをもう少し読みたいと感じました。
『Q&A』の孕んでいる不可解さには困惑させられます。不明瞭な部分が多くて釈然としないのです。しかし、だからこそ、どこか現実の出来事のように思えてきます。
非常に不気味な作品。
自森人読書 Q&A
作者: 恩田陸
出版社: 新潮社
2002年2月11日午後2時過ぎ。都内郊外の大型商業施設Mで重大な事故が発生し、150名以上の死傷者が出ます。ですが、それなのにその原因が何であったのかまったく特定できません。そして聴き取り調査が始まるのですが・・・
質問形式、つまりQ&A形式で物語が進行していきます。
いったいどうして事故は起きたのか。最初はその謎を追求していたはずなのに、いつの間にか物語は別の方向へとずれていきます。けど、それは「脱線」ではないようです。事故とその周辺のことが延々と書かれていきます。見えないものの怖さを感じました(事故の原因は「偶然」という見えないものみたいだし)。そういう意味ではホラーなのかも知れない。
全体的に気味悪いです。『理由』と同じような趣向かと思いきや、『理由』以上にずれていくし、よく分からない部分がたくさん残ります。いったいぜんたい誰が訊いている側で、誰が訊かれている側なのかすら分からない場合もあります。
宗教絡みのはなしも出てきます。というか、むしろ最後の辺りは宗教に関するはなしになっていきます。その辺りのことをもう少し読みたいと感じました。
『Q&A』の孕んでいる不可解さには困惑させられます。不明瞭な部分が多くて釈然としないのです。しかし、だからこそ、どこか現実の出来事のように思えてきます。
非常に不気味な作品。
自森人読書 Q&A
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