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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★

著者:  オマル・ハイヤーム 陳舜臣
出版社: 集英社

  『ルバイヤート』とは、ペルシャの詩人オマル・ハイヤームの四行詩集のこと。第二次世界大戦中、著者である陳舜臣はそれを手放さず、何度も繰り返し読み、自分の手で翻訳していたそうです。それをまとめたのが、この陳舜臣訳『ルバイヤート』。

  詳細な註解と解説がついています。とくに解説が素晴らしいです。

  オマル・ハイヤームは著名な数学者・天文学者・詩人。陳舜臣は「自由思想家」と読んでいますが、当時彼ほど近代的な合理主義者は世界にいなかったようです。初めて三次方程式の解法を体系化し、非常に正確なジャラリー暦を発明。

  しかし、勤勉な人というわけではないみたいです。『ルバイヤート』を読んでいると、現代人の感覚とさほど変わらないものが見られます。彼は、神を疑い、イスラーム教を疑い、死が待ちうけている未来を直視しても意味はないし、世界は不可知であるから諦めるしかないと言います。そして、もう今を楽しみ、酒を飲むしかないと嘆くのです。再三にわたって酒が登場します。

  四行詩は絶句とも似通っている部分があると陳舜臣は指摘していますが、確かに似ているかも知れません。四行で終わるところ、脚韻を踏んでいるところ、簡潔なところが一致します。そういえば、やたらと酒が登場するところも同じです(意味合いは異なりますが)。

  読んでいて、陳舜臣は凄い人だと改めて感じました。彼は台湾の人。1924年に神戸で生まれ、大学ではヒンディー語とペルシャ語を学び、戦後日本でミステリ作家としてデビュー。その後中国の歴史小説を発表し、一つのジャンルを形成。彼が、日本語で小説を書いてくれることに感謝しないとならないのかも。


自森人読書 ルバイヤート
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