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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★

著者:  安部公房
出版社: 新潮社

  『笑う月』は安部公房の短編集。『催眠誘導術』『笑う月』『たとえば、タブの研究』『発想の種子』『藤野君のこと』『蓄音機』『ワラゲン考』『アリスのカメラ』『シャボン玉の皮』『ある芸術家の肖像』『阿波環状線の環』『案内人』『自己犠牲』『空飛ぶ男』『鞄』『公然の秘密』『密会』収録。

  エッセイと掌編小説が17篇収められています。

  奇妙な感覚を持ち合わせた不可解な小説を書くためにはどうすればいいか、少しだけ分かります。安部公房は、夢というものを小説に取り入れているそうです。そのまま使うというわけではないようですが、ネタにするみたいです。

  しかし、夢は随分と扱いづらいもののような気もします。他人の夢のはなしほどつまらないものはない、という言葉があります。

  AからBへと渡されるタブについての考察がつらつらと綴られている『たとえば、タブの研究』とか、夢がそのまま綴られているときはそれほど面白くはないです。とはいえ、少しは愉快です。そこまで理詰めで考えるのか、と感心します。理詰めで考えるからこそ、面白い小説が生まれるのだろうか、と考えてしまいました。

  教科書に収録され、自由の森学園の授業でも扱っている『公然の秘密』は、最も取っ付きやすくて分かりやすい「小説」になっています。というか『公然の秘密』以外の作品が提出されたら困ってしまうだろうなぁ、と感じます。


自森人読書 笑う月
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