★★★★★
作者: 田中芳樹
出版社: 徳間書店
銀河系を舞台に、銀河帝国と自由惑星同盟、フェザーン自治領が、三つ巴の戦いを繰り広げる物語です。まず、ページをひらくと、人類が宇宙へ飛び出し、銀河系に拡大していった様子が淡々と語られていきます。歴史小説ふうの文章が嫌いな人はこの時点で、もう本を閉じてしまうかもしれません・・・
そうして、延々と歴史が語られていき、宇宙暦776年/帝国暦467年に到達して主役たちが登場します。そして物語は、ふたりの主人公、ラインハルト・フォン・ローエングラムとヤン・ウェンリーを中心に展開していきます。
ラインハルト・フォン・ローエングラムは、銀河帝国の軍人です。姉が皇帝の後宮に召されてしまいます。そこで姉を奪った皇帝、ひいては門閥貴族の支配する帝国への憎しみを抱くようになりました。彼は戦争の天才であり、政治家としても優れていました。なので、帝国を倒して自分が皇帝になり、さらに宇宙を統一しよう、と目指し、全てを成功させていきます。
彼の前に立ちふさがったのがヤン・ウェンリーです。ヤン・ウェンリーは自由惑星同盟の軍人です。彼は天才的に戦争のうまい男でした。そして、民主主義の抱える矛盾に悩みつつも、民主主義を信じて戦います。
独裁主義と、民主主義どちらを選ぶのか?
ラインハルトは腐敗した独裁主義と民主主義を踏み潰して、新たに清新な帝国を築き上げてしまいます。そして、悪政をおこなう民主主義よりも、善政をおこなう独裁主義の方がいいだろう、と問いかけます。そこで待てよ、と踏みとどまったのがヤン・ウェンリーでした。結局迷いつつも、ラインハルトと戦い続けることとになります。
この文章を読むと、なんだかヤン・ウェンリーってかっこいい「民主主義の戦士」みたいに聞こえるかも知れないなぁ。でも、「ごくつぶしのヤン」「無駄飯食いのヤン」とか言われる怠け者なのです。その上ひねくれ者・・・ そういうキャラクターの落差っていうのはとても面白いです。人の魅力っていうのは、案外そこらへんにあるような気がします。
その他にも魅力的なキャラクターがたくさん登場します。そこで興味深いのは、この物語の中ではどんな凄い人でも、歴史を大きく揺り動かすことなんかできない、ということです。
ただ1人、ラインハルトのみが、歴史をかなり動かしていきますが、それでも大切な親友を失い、ヤンには勝てず、思い通りにはいきません。1人の力で世界が救われたり、変化したりする物語、というのはよくあります。でも世界はそんなに簡単じゃないな、と思います。超能力を持った人間も、エイリアンも、アンドロイドもでてきません。でもだからこそ逆に見えてくるものがあると思います。
とりあえず、手にとってみることをおすすめします。みみっちい機械の説明なんかほとんどありません。壮大な宇宙を舞台に、艦隊どうしがぶつかり合い、伝説が創られていきます。
ひねくれ者・ヤン・ウェンリー。
いつもはぼやっとしていますが、ひねれるときはひねくれる・・・
「貴官、なぜ、起立せぬ?!」
ヤン「この国は自由の国です。起立したくないときに起立しないでよい自由があるはずだ。
私はその自由を行使しているだけです」
「ではなぜ、起立したくないのだ」
ヤン「答えない自由を行使します」
自森人読書 銀河英雄伝説シリーズ
作者: 田中芳樹
出版社: 徳間書店
銀河系を舞台に、銀河帝国と自由惑星同盟、フェザーン自治領が、三つ巴の戦いを繰り広げる物語です。まず、ページをひらくと、人類が宇宙へ飛び出し、銀河系に拡大していった様子が淡々と語られていきます。歴史小説ふうの文章が嫌いな人はこの時点で、もう本を閉じてしまうかもしれません・・・
そうして、延々と歴史が語られていき、宇宙暦776年/帝国暦467年に到達して主役たちが登場します。そして物語は、ふたりの主人公、ラインハルト・フォン・ローエングラムとヤン・ウェンリーを中心に展開していきます。
ラインハルト・フォン・ローエングラムは、銀河帝国の軍人です。姉が皇帝の後宮に召されてしまいます。そこで姉を奪った皇帝、ひいては門閥貴族の支配する帝国への憎しみを抱くようになりました。彼は戦争の天才であり、政治家としても優れていました。なので、帝国を倒して自分が皇帝になり、さらに宇宙を統一しよう、と目指し、全てを成功させていきます。
彼の前に立ちふさがったのがヤン・ウェンリーです。ヤン・ウェンリーは自由惑星同盟の軍人です。彼は天才的に戦争のうまい男でした。そして、民主主義の抱える矛盾に悩みつつも、民主主義を信じて戦います。
独裁主義と、民主主義どちらを選ぶのか?
ラインハルトは腐敗した独裁主義と民主主義を踏み潰して、新たに清新な帝国を築き上げてしまいます。そして、悪政をおこなう民主主義よりも、善政をおこなう独裁主義の方がいいだろう、と問いかけます。そこで待てよ、と踏みとどまったのがヤン・ウェンリーでした。結局迷いつつも、ラインハルトと戦い続けることとになります。
この文章を読むと、なんだかヤン・ウェンリーってかっこいい「民主主義の戦士」みたいに聞こえるかも知れないなぁ。でも、「ごくつぶしのヤン」「無駄飯食いのヤン」とか言われる怠け者なのです。その上ひねくれ者・・・ そういうキャラクターの落差っていうのはとても面白いです。人の魅力っていうのは、案外そこらへんにあるような気がします。
その他にも魅力的なキャラクターがたくさん登場します。そこで興味深いのは、この物語の中ではどんな凄い人でも、歴史を大きく揺り動かすことなんかできない、ということです。
ただ1人、ラインハルトのみが、歴史をかなり動かしていきますが、それでも大切な親友を失い、ヤンには勝てず、思い通りにはいきません。1人の力で世界が救われたり、変化したりする物語、というのはよくあります。でも世界はそんなに簡単じゃないな、と思います。超能力を持った人間も、エイリアンも、アンドロイドもでてきません。でもだからこそ逆に見えてくるものがあると思います。
とりあえず、手にとってみることをおすすめします。みみっちい機械の説明なんかほとんどありません。壮大な宇宙を舞台に、艦隊どうしがぶつかり合い、伝説が創られていきます。
ひねくれ者・ヤン・ウェンリー。
いつもはぼやっとしていますが、ひねれるときはひねくれる・・・
「貴官、なぜ、起立せぬ?!」
ヤン「この国は自由の国です。起立したくないときに起立しないでよい自由があるはずだ。
私はその自由を行使しているだけです」
「ではなぜ、起立したくないのだ」
ヤン「答えない自由を行使します」
自森人読書 銀河英雄伝説シリーズ
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