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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★

著者:  サミュエル・ベケット
出版社: 白水社

  要約することが不可能な小説。二部構成。

  第一部
  モロイの独白が綴られています。彼は様々なことをたらたらと連想します。100ページにも渡って改行がない上に、脈絡がないので、茫然とさせられます。「私は母の寝室にいる。・・・」という一文から始まります。どれだけ読んでも足に異常を持ち、母親を失い、自転車を好み、16個の小石を順番にしゃぶろうとして、ふらふらしているモロイというのは何なのかいまいちよく分かりません。困惑します。

  第二部
  頼まれてモロイのことを捜索するモランの報告。彼は父親のように振舞おうとして愚鈍な息子を使うのですが、なかなか威厳を保てず・・・

  訳が分からない小説。

  著者は何を書きたいと思っているのか分かりません。それにモロイというのは何者なのか、彼は何を目指しているのか分からないです。しかし、だからこそ一つひとつの文章にひきつけられるし、いろんなところで立ち止まることになります。

  ベケットは定型化された小説をぶち壊し、絶対的な作者を抹消し、言葉や筋書き、ひいては小説自体を捉えられないものにしたかったのかも知れないと感じます。多分、読むという行為を一回限りのものにする企み、なのではないか。

  ベケットの演劇『ゴドーを待ちながら』とも共通している部分が多くて面白いです。あと、「・・・ただこれだけ言っておこう、おまわりもとうとう。ぶつぶつ言いながら、退散してしまった。退散と言っても良いすぎじゃあない。私がもうこれ以上やっつけられそうもないと見切りをつけて最後の野次馬たちもそのあとに従った。だがおまわりは振り返って言った。ただちに犬は除去してくださいよ。・・・」という文章がありますが、劇団どくんごの演劇『ただちに犬 Deluxe』を連想しました。もしかして元ネタか。

  とにかくどこまでも捉えられないところは、カフカとも近いです。訳が分からない小説に意味がないわけではない、と感じるし、まぁそれなりに楽しいです。が、基本的には分からないし、読むだけで猛烈に疲れます。しかし、だからこそ何がなんだか分からない/思い通りにいかない、ということに振り回されるモロイの感覚に共感できます。


自森人読書 モロイ
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