自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
★★★★★
著者: アゴタ・クリストフ
出版社: 早川書房
物語の舞台は、第二次世界大戦末期のヨーロッパの田舎町。祖母のもとに双子をつれた母親が現れます。祖母は受け取りを拒否するのですが、母親は双子を置いて去っていきました。祖母は臭くて粗野でその上偏狭な性格でした。しかも祖父を毒殺したと思われたため周囲からは魔女と呼ばれます。ですが、そんな祖母のもとで、双子は一心同体となって残酷な世界を生き抜いていきます。彼らは溢れる苦痛や死、虐めに対してストイックに立ち向かいますが・・・
第二次世界大戦を描いた小説。アゴタ・クリストフのデビュー作。
双子の日記ということになっています。事実のみが淡々と記されているため描写は簡潔。そして、細切れです。読みやすいです。
感情は綴られていないし、固有名詞はほとんど登場しません。しかし、だからこそ普遍的なのかも知れません。グロテスクな戦争というものが明確に活写されています。敵だろうと味方だろうと軍隊と言う物は略奪と強姦を繰り返すという事実が生々しいです。また、ホロコーストについてもさっくりと描かれています。ユダヤ人の人たちはどこへ連行されていったのか、周囲の人は実感をもって受け止めることが出来なかったのかも知れない、と感じます。
様々な汚れもしっかりと記されているところが印象的。寓話的なのに、不思議なほど人間味があります。
主人公である、双子は決して離れ離れになることはありません。彼らは二人で一人なのです。だからこそ、独特の論理を突き通し、異様な事態に対処できるのではないか。徹底的に冷たいです。様々な感情を殺していくことでしか戦争という事態を受け止めることはできないのかも知れない、とも感じます。
醜さから隔絶された哲人のような双子を生み出した著者アゴタ・クリストフは凄い人だ、と感じました。ハンガリーから西側へと亡命してきてフランス語を学び、小説を書き始めたそうですが、母語ではない言葉を用いて小説を書くのは難しいだろうなぁ。
自森人読書 悪童日記
著者: アゴタ・クリストフ
出版社: 早川書房
物語の舞台は、第二次世界大戦末期のヨーロッパの田舎町。祖母のもとに双子をつれた母親が現れます。祖母は受け取りを拒否するのですが、母親は双子を置いて去っていきました。祖母は臭くて粗野でその上偏狭な性格でした。しかも祖父を毒殺したと思われたため周囲からは魔女と呼ばれます。ですが、そんな祖母のもとで、双子は一心同体となって残酷な世界を生き抜いていきます。彼らは溢れる苦痛や死、虐めに対してストイックに立ち向かいますが・・・
第二次世界大戦を描いた小説。アゴタ・クリストフのデビュー作。
双子の日記ということになっています。事実のみが淡々と記されているため描写は簡潔。そして、細切れです。読みやすいです。
感情は綴られていないし、固有名詞はほとんど登場しません。しかし、だからこそ普遍的なのかも知れません。グロテスクな戦争というものが明確に活写されています。敵だろうと味方だろうと軍隊と言う物は略奪と強姦を繰り返すという事実が生々しいです。また、ホロコーストについてもさっくりと描かれています。ユダヤ人の人たちはどこへ連行されていったのか、周囲の人は実感をもって受け止めることが出来なかったのかも知れない、と感じます。
様々な汚れもしっかりと記されているところが印象的。寓話的なのに、不思議なほど人間味があります。
主人公である、双子は決して離れ離れになることはありません。彼らは二人で一人なのです。だからこそ、独特の論理を突き通し、異様な事態に対処できるのではないか。徹底的に冷たいです。様々な感情を殺していくことでしか戦争という事態を受け止めることはできないのかも知れない、とも感じます。
醜さから隔絶された哲人のような双子を生み出した著者アゴタ・クリストフは凄い人だ、と感じました。ハンガリーから西側へと亡命してきてフランス語を学び、小説を書き始めたそうですが、母語ではない言葉を用いて小説を書くのは難しいだろうなぁ。
自森人読書 悪童日記
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