自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
ジャズピアニスト・池永希梨子(通称フォギー)は、柱の陰にいる人に向かって音楽を届けることをいつも気にかけていました。不振が続いていたある日、本当に柱の陰に黒づくめの女性がいるような気がしてとても良い演奏ができました。彼女は、その後外出し、外でその女性と邂逅します。彼女は「ピュタゴラスの天体云々」といった謎の言葉を残して消えました。やがて、夏になり、フォギーは故郷へ帰ります。そして突如として1944年敗戦間近のドイツへタイムスリップしてしまい・・・
SFのようなファンタジーのような作品。
イントロダクションだけで100ページあります。中盤までは読み進めるのが辛かったです。奥泉光の古風ないかにも純文学作家っぽい長い文章を読むためには根気が要るからです。しかし、いろいろな謎が絡み合ってくると面白くなってきます。
笑える部分が随所に挟まれているので楽しかったです。たとえば、「武富士」のポケットティシュが思わぬ疑惑を呼ぶところなどは爆笑。
脇岡氏が最高におかしいです。歌手なのにリズム感覚に欠け、みんなから疎まれているのにやたらとつらつらと喋り続ける無神経の塊なのだけど、どこか憎めない彼の面白さは格別。
今日読んだ本
奥泉光『鳥類学者のファンタジア』
今読んでいる本
いとうせいこう『ノーライフキング』
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