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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★

著者:  竹山道雄
出版社: 新潮社

  日本軍の中に、「うたう部隊」と呼ばれる部隊がありました。彼らは、戦いの傍ら、戦場でも合唱の練習をしていたので非常に上手でした。その中に、水島という兵卒がいました。彼は堅琴がうまく、またビルマ人の風貌に似通った青年だったので、日本兵のみんなから好かれ、ビルマ人からもよく扱われました。

  第二次世界大戦の終わりごろ。「うたう部隊」は、ビルマで孤立し、最後にはとうとう英軍の捕虜となります。そうして、戦争は終わりました。水島は、まだ戦闘を続けている部隊に降伏をすすめるため、イギリス軍の許可を得て、1人部隊を離れます。しかしなぜか彼は帰ってきませんでした。なぜなのか、と部隊の者たちは心配し、帰ってくるようにいろんな方法で試みるのですが、彼は結局戻ってきませんでした。実は、水島はビルマ全土に転がる日本兵の無残な死体を弔うために、ビルマに残ることにしたのです・・・・・

  「子供向け」のはなしだったんだ・・・ 知りませんでした。

  戦争が背景にあるけれど、そこまでエグい描写はありません。なんというか、南国の美しいビルマの風景が思い浮かびます。とても、読みやすいです。でも、内容は決して子供騙しなものではありません。いろんなことを考えさせてくれます。

  あとがきの竹山道雄の訴えには納得します。作者は、「戦争は悪い。戦争責任の所在を考えていくことなどは大切だろう。だが若者たちが戦場に散ったのは悲劇なのだ。それをしっかりと見つめず、戦争した全員が一律に悪、と決め付ける風潮にわたしは違和感を覚える。戦死した人たちの冥福を祈ることまでいけない、と決め付けるのはおかしい、と私は思う」と書き記しています。

  日本という国家の方向を誤らせた責任は、日本国民全員にあるのだ、という議論はある意味では正しいかもしれません。しかし、戦争に巻き込まれて死んだ人を悼むというのはあっても良いのではないか(ちょっとはなしはそれるけど、国民全員に責任はあるという論理は、最大の責任があるはずの天皇の戦争責任から目をそらさせるための誰かの陰謀かもしれないなぁ、と僕は思います)。難しい問題だなぁ・・・


自森人読書 ビルマの竪琴
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