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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★

著者:  安部公房
出版社: 新潮社

  笑顔で隣人愛を唱え続ける、グロテスクな9人の「家族」の人たちが突然、ある男の家に闖入してきて男の生活を侵食しつくしていきます。男は「家族」の屁理屈と数に圧倒され、どんどんと追い詰められていきます。ありえないような屁理屈だらけのやりとりは凄く笑えます。よくこんな捻じ曲がったことが考え付くなぁ・・・ しかし、最後まで読むとちょっと笑えなくなってきます。

  凄くいろんなことを考えさせられます。黒くて怖くて笑える喜劇。

  好意を装っているけど、明らかに男の全てを破壊し、最後には男を殺してしまう9人の「家族」が、怖いです。でも、世の中にこういうことってよくあるのではないか? むしろありがちじゃないか。見せかけの好意と、「多数派」の横暴。

  多数派というのは多いというだけで、すでに少数派を圧迫しているともいえます。自分が「多数派」になっているかも知れない、と思うととても怖いなぁ。知らないうちに誰かを追い詰めているのかも・・・? そうだしたらいったいどうすれば良いのだろう。

  谷崎潤一郎賞受賞作。小説ではなくて戯曲。舞台化されることを想定して書かれたものです。

  「友達」という文字を見て・・・ 浦沢直樹『20世紀少年』はもしかしてこれに着想を得たのかなぁ、と考えたりしました。なんだか、理不尽さとか似通った部分がたくさんあります。いや、そんな訳はないんだけど。まぁ安部公房って、まるで未来を予知して書いたような深い内容のものが多いので、あとから出てきた作品の中にまるでパクリに見えてしまうものもいろいろある気がします。

  それだけ安部公房が、時代の先を行っていた、ということなのかなぁ、多分。

  第3回谷崎潤一郎賞受賞作。


自森人読書 友達
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