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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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『現代日本の小説』
1980年代以降の日本文学史をたどっていくことができます。非常に分かりやすいです。押さえておくべき作家の名がきちりきちりと押さえてあります。

大江健三郎のノーベル賞受賞以前・以後を分け、以後の文学史についてを分析。よしもとばななと村上春樹を重視。とくに村上春樹には一章を割き、彼の遍歴を綴っています。それから、金原ひとみ、綿矢りさといった若手小説家がもたらした衝撃や、変容しつつある日本人の感性のことについても分析されています。

「純文学」系の小説家たちのことはかなり詳細に掴むことができます。しかし、「純文学」系以外の小説家の説明にはけっこう間違いがあるし、扱いが悪い。

たとえば、舞城王太郎をライトノベル作家として扱っているのは多分、間違っています。いかにもラノベ系な雰囲気を漂わせているけれど、ライトノベル作家ではありません。元々は清涼院流水などを輩出したメフィスト賞から、すなわち異端的な新本格ブームからでてきた人です。

まぁ、「純文学」系や「文壇」を中心にしないとしかたないともいえます。ケータイ小説のことまで含めようとしたら、やっぱりおさまりがつかないだろうし。

最後は少し走りすぎているような気もしました。一つ一つのことについて詳しく読みたい、と感じました。「70年代以降の小説は全てクズ」とか言い放つ人たちに比べて尾崎真理子は良心的だし、絶対に凄い人です。ちゃんと読んでいるわけだから。


今日読んだ本
尾崎真理子『現代日本の小説』

今読んでいる本
山田風太郎『明治断頭台』
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