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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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『さようなら、ギャングたち』
詩人の「わたし」は女性と出会い、愛し合います。そして、彼女には「中島みゆきソングブック(S・B(ソング・ブック))」という名前をあげ、彼女からは「さようなら、ギャングたち」という名前を貰います。そんな、わたしと「S・B」と猫である「ヘンリー4世」の日々を描いた作品。詩とは何か、言葉とは何かといった問いや、分からないものとの出会いなどが、ポップな文体で綴られていきます。

高橋源一郎のデビュー作。第4回群像新人長篇小説賞優秀賞受賞作。

ポストモダン文学の最右翼とも言うべき作品。ページには空白が多くてスカスカしているのだけど、それでいて深い物を含蓄しているように見えます。文章が進むごとに、物語が更新されつつもバラバラになっていくので訳が分からなくなりますが、とにかく面白いです。

役所から送られている通知で娘が死ぬことを知った上で、彼女との1日を過ごす場面が一番心に残りました。なんというか本当に不条理で、哀切に満ちています。

著者自身の半生をまとめたものとして読むことも可能らしいです。ある意味では私小説なのか。

小説の可能性を感じさせてくれます。小説は、ぐにゃっとしたよくわからないものを取り込むことができるし、様々な読み方を促す不可解さをもちあわせていても良いのだということを教えてくれます。言葉っていうのは本当になんなんだろうか。



今日読んだ本
高橋源一郎『さようなら、ギャングたち』

今読んでいる本
道尾秀介『鬼の跫音』
斎藤美奈子『妊娠小説』
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