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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★★

著者:  アルベール・カミュ
出版社: 新潮社

  二部構成。

  主人公はアルジェリアのアルジェに暮らすムルソーという男。彼は、母親の訃報を聞いて養老院へ行き、母の葬式に出席しますが、とくに泣いたりはせず、淡々とそれを終え、すぐさま家に帰りました。そして翌日には知り合いの女性とセックスしたりして、いつもと同じように日々を過ごします。しかし程なく悪友レエモンに巻き込まれ、アラブ人との喧嘩に加勢したことからなんとなくアラブ人の男を射殺してしまいます。ムルソーは、「太陽のせい」と言いました。そして、死刑の判決を下されることとなります・・・

  変則的な法廷小説のよう。

  太陽が照りつける灼熱の地が舞台だからか、からっとしています。別に盛り上がる部分があるわけでもないのに、とても面白かったです。なんというか、変てこな爽やかさを感じました。人を殺してしまったのに、なんとも思わない彼の心の風通しの良さというか悩まなさが面白いです。

  主人公は決して狂った人間ではない、と僕は感じました。それなりに一貫した論理を持っている人のような気がします。ある意味、芝居をせずに自分の思ったとおりに行動しているわけだから、真っ当なのではないか。

  最終的に、ムルソーは死刑判決を下されるわけですが、全く悔い改めていない者に罪を与えたところで意味があるのか。全く裁きとして成立していない気がします。彼は、周囲の決まりからはずれたことから、「異邦人」となってしまったのかなぁ。その場合、その事態に困るのは周囲で、彼自身は全く困らないというとこになります。死にも重い意味を見出さない彼という存在に、少しでも傷を与えうる者はどこにも存在しないわけだから。だから、消されてしまったのか。


自森人読書 異邦人
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