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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★

著者:  東野圭吾
出版社: 講談社

  ピエロは物言えぬ傍観者として十字屋敷で巻き起こる事件の一部始終を観察しています。それを知らない犯人は複雑な動きを見せ、様々な犯罪を繰り返します。葬式のためオーストラリアから帰ったばかりの竹宮水穂は次々と巻き起こる事件に遭遇し、困惑します。そして、ピエロを追って現れた人形師の悟浄とともに事件について考えるのですが・・・ 竹宮水穂の視点の間に、ピエロの視点がちょこちょこ挟まります。

  奇を衒ったミステリ。

  登場人物には魅力が感じられないし、会話もつまらないことこの上ありません。とはいえ、物の視点を真面目に作品中に取り入れたところは愉快だし、ミステリとしてはそれなりに面白いです。ありがちな館ものなのだけど、様々な人間が動き回っているため複雑。把握するのは大変だけど、その絡み具合が面白いです。

  しかも無駄がないです。伏線が上手に張られていて、それがみごとに収斂していきます。よく考えるなぁ、と感心します。

  ラストはじんわりと怖いです。

  基本的にコンパクトだし、サクッとしていて読みやすいので時間はとりません。東野圭吾のミステリ小説は軽いところがいいです。軽いだけで深みがない、というふうな言い方もできてしまうかも知れないのですが。


自森人読書 十字屋敷のピエロ
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