自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
★★★
著者: 陳舜臣
出版社: 講談社
17世紀(日本では江戸時代)頃のインドが舞台の物語。どうしてインド全土を支配した大国家・ムガル帝国は滅亡してしまったのか、というのを読み解いていこうというもの。主に、推理小説や中国の歴史小説を書いていることで有名な小説家、陳舜臣の意欲作です。
なぜ彼は、中国史ばかりではなく、インド史にも目をむけられたのか? 日本に住んでいるから日本史を扱おうというのならば分かりやすいけど、そうではないのです。ではなぜなのか、というと別にたいした理由はなくて、偶然の結果なんだそうです。
陳舜臣は若い頃、倍率が低いからという理由でインド語専攻の道を選びました。そして、その結果として「自分たち中国の文化が世界の中心である」というような中華思想に縛られず、アジア全体を眺めるようなもっとずっと広い視野を手に入れられたそうです。つまり青春の頃の思索が、この『インド三国志』に活かされているわけです。偶然が人をつくるんだなぁ・・・ 面白い。
さて、では『インド三国志』はどんな物語かというと・・・
毎回代が代わるたびに、兄弟が「帝位か、死か」を賭けて文字通り殺しあい(ムガル帝国の衰退の原因の1つとして、帝位の継承時の激しい争乱があると陳舜臣は見ていますが、とても納得します)、熾烈な帝位争いを繰り返すムガル帝国。その帝国に刃向かって、自由と独立を手に入れようとする幾多の少数民族。そしてそこへ割り込み、インドへの侵攻を開始する東インド会社。その3者による、三つ巴の戦いの始まりを描いたものです。
一方の主人公は、兄弟を殺してムガル帝国皇帝となったものの、その視野の狭さのあまり多文化を弾圧し、帝国を自壊させていく皇帝・アウラングゼーブ。もう一方の主人公は、傭兵を稼業とするマラータ族をまとめ、国家を築いていった優れた指導者シヴァージ。そこに、東インド会社の面々が微妙に絡む感じです。ですが、東インド会社が本格始動するのは最後の章。あまりでてきません。
『インド三国志』はあまりにも面白くて一気に読んでしまったのですが・・・ なんだか尻切れトンボというか、最後のところに〔未完〕とついていても良いような感じの終わり方になってしまっています。そこが残念です。壮大な物語の前半部分としか思えない。ぜひとも、続きを書いて欲しいなぁと思いました。
自森人読書 インド三国志
著者: 陳舜臣
出版社: 講談社
17世紀(日本では江戸時代)頃のインドが舞台の物語。どうしてインド全土を支配した大国家・ムガル帝国は滅亡してしまったのか、というのを読み解いていこうというもの。主に、推理小説や中国の歴史小説を書いていることで有名な小説家、陳舜臣の意欲作です。
なぜ彼は、中国史ばかりではなく、インド史にも目をむけられたのか? 日本に住んでいるから日本史を扱おうというのならば分かりやすいけど、そうではないのです。ではなぜなのか、というと別にたいした理由はなくて、偶然の結果なんだそうです。
陳舜臣は若い頃、倍率が低いからという理由でインド語専攻の道を選びました。そして、その結果として「自分たち中国の文化が世界の中心である」というような中華思想に縛られず、アジア全体を眺めるようなもっとずっと広い視野を手に入れられたそうです。つまり青春の頃の思索が、この『インド三国志』に活かされているわけです。偶然が人をつくるんだなぁ・・・ 面白い。
さて、では『インド三国志』はどんな物語かというと・・・
毎回代が代わるたびに、兄弟が「帝位か、死か」を賭けて文字通り殺しあい(ムガル帝国の衰退の原因の1つとして、帝位の継承時の激しい争乱があると陳舜臣は見ていますが、とても納得します)、熾烈な帝位争いを繰り返すムガル帝国。その帝国に刃向かって、自由と独立を手に入れようとする幾多の少数民族。そしてそこへ割り込み、インドへの侵攻を開始する東インド会社。その3者による、三つ巴の戦いの始まりを描いたものです。
一方の主人公は、兄弟を殺してムガル帝国皇帝となったものの、その視野の狭さのあまり多文化を弾圧し、帝国を自壊させていく皇帝・アウラングゼーブ。もう一方の主人公は、傭兵を稼業とするマラータ族をまとめ、国家を築いていった優れた指導者シヴァージ。そこに、東インド会社の面々が微妙に絡む感じです。ですが、東インド会社が本格始動するのは最後の章。あまりでてきません。
『インド三国志』はあまりにも面白くて一気に読んでしまったのですが・・・ なんだか尻切れトンボというか、最後のところに〔未完〕とついていても良いような感じの終わり方になってしまっています。そこが残念です。壮大な物語の前半部分としか思えない。ぜひとも、続きを書いて欲しいなぁと思いました。
自森人読書 インド三国志
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