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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★★

著者:  ブライアン・W・オールディス
出版社: 早川書房

  物語の舞台は未来の地球。膨張しつつある太陽の影響を受け、地球の自転は停止し、昼側の世界では様々な進化をなしとげた凶暴な植物たちが大陸中を埋め尽くすようになります。糸をめぐらし、月に到達した蜘蛛的な植物ツナワタリなども登場。動物はほとんど滅亡寸前であり、人間もかつての知恵を失い、原始的な生活に戻っています。リリヨーに率いられた一団は、次々と仲間を失いつつも、なんとか命をつないでいるのですが・・・

  1962年に発表された、奇想天外なSF小説。

  とにかくぶっ飛んでいます。奇想を極めようとしているようです。サイエンス・フィクションっぽくなくて、むしろ伝説か神話のようです。だから、地球の自転が停止している(本当にそうなったならば、昼の側は灼熱の世界に、夜の側は極寒の世界になるのではないか)、とかそういう無茶な設定であっても受け入れられます。

  奇怪な進化を遂げた植物が山のように登場します。地球と月を糸で繋いでしまう蜘蛛のような生物ツナワタリ。知恵を貯蓄し、他の生物に取り付く醜悪なキノコ、アミガサダケなどなど。どの生物も非常に印象的。グロテスクな生物ばかりだけど、なぜか想像できるし、愛着が湧きます。

  物語自体も非常に面白いです。原始的な生活の中で、人間はあっさりと殺されていきます。主人公グレンはそのような状況に対応するためなのか、粗暴な面をよく垣間見せます。その部分もリアリティがあります。共感できないけど。

  宇宙の謎が解明される部分には感心しました。ただ、少し詰め込みすぎな気がしないでもないです。綻びというか、無茶な部分が各所にあります。とはいえ、これだけの分量に様々な要素がぶち込まれているからこそ、物凄いと感じるのかも知れません。とにかく、インパクトがあるし、その植物によって支配されている世界に惹きこまれます。

  『風の谷のナウシカ』など、植物が支配する世界を描いたファンタジー・SF作品はたいがい影響を受けているのではないか。

  ヒューゴー賞受賞作。


自森人読書 地球の長い午後
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