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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★

著者:  西東登
出版社: 集英社

  佐野洋・編『最大の殺人』収録の短編。

  会社では閑職に追いやられ、家庭でも孤独な私は、ある日骨董屋さんで壷を見かけます。その壷を、戦時中中国でみかけたことがあるような気がした私は、そこで立ち止まって、壷をまじまじと見つめてしまいました・・・ そしてちょっと興味を持つのですが、その壷のことをいろいろ調べているうちに、戦後の混乱期に壷を中国から持ち帰った男が突如毒死したことを知ります。いったいどういうことなのか・・・

  実は、その壷は、闘わせるために飼育されているコオロギを入れるものとして中国では使われていたそうです。コオロギ同士を闘わせる賭け、というのは面白いなぁ、と思いました。犬や、鶏を闘わせるというのは、昔日本でもよく行われていた、とよく聞きます(闘犬とか、闘鶏とか)。だけど、コオロギというのは全然聞いたことが無い。

  さて、その壷は、そういうふうにして戦争の頃の中国では、コオロギ入れとなっていたのを「私」はみたわけですが、作られたのはだいぶ昔、多分何百年か前です。それ以前はいったい何のために使われていたのだろうか・・・? というのが最後に明かされるのですが。

  実は、昔もコオロギ入れだったのではないか、という推測が示されます。コオロギはりんりんとなきます。だから昔の貴族達は、その壷の中にコオロギを閉じ込め、その音色を楽しんだのではないか? つまり風雅なものだったという訳です。面白い。


自森人読書 壷の中
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