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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★

著者:  高村薫
出版社: 文藝春秋

  短編集。『愁訴の花』『巡り逢う人々』『父が来た道』『地を這う虫』収録。

  『愁訴の花』
  警備会社に勤めている元刑事・田岡のもとに、先輩刑事・須永が危篤だとの知らせが届きます。ちょうど直後に、牢から出所したばかりらしい、後輩の元刑事・小谷から電話を受けます。彼は、覚醒剤売買に手を出した美人の妻を殺害して逮捕、起訴、実刑判決を受けた男でした・・・ 小谷は須永のことについて田岡に問いますが、なぜ須永のことを気にするのかは、まったく喋りませんでした。

  田岡は当時のことを思い出そうとします。なぜか、小谷の家に置いてあった青紫のリンドウの花のことから記憶は広がっていきます・・・・・

  昔(1999)、「高村薫サスペンス」ということでドラマ化もされたそうです。この暗い物語を映像化か・・・ まぁとてもやりやすそうだけど。地に足がついているし(リアルっていうのかなぁ)、それに分かりやすいストーリーだし。

  小谷の妻は、市井の「普通な人」ではありませんでした。確かに麻薬売買に手をだしていたのです。しかし、秘密はそれだけではありませんでした。彼女はその美貌をもちいて、お金を持つ人たちに体を売って儲けていたのです。つまり売春行為です。ですが、警察はそれを追及することはできませんでした。どこかから圧力がかかってきたからです・・・

  全編、物語舞台は圧力によって、真実を追い求めることがままならぬ警察という組織。う~ん、ありそうなはなしです。高村薫は、明るいラストを用意することがありません。なんというか、夢を見させてくれるような物語と言うよりは、現実の問題を突きつけてくるような感じです。

  嫌いじゃないが、暗い。高村薫のこの重々しさは、やっぱり長編でこそ活かされる気がするなぁ・・・ 『レディ・ジョーカー』の方が僕は気に入っています。


自森人読書 愁訴の花
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