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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★

著者:  丸木俊、丸木位里
出版社: 小峰書店

  第二次世界大戦のとき、日本の中で唯一地上戦が行われたのが、沖縄です。沖縄県民のうち、3人に1人が亡くなりました。たくさんの方が亡くなり、生きのびた人たちもほぼ全員が、祖母や祖父、母親や父親、兄弟姉妹、娘や息子、叔父や伯母といった親族の大勢を失いました。どれだけ沖縄戦はひどいものであったかが分かります。

  沖縄戦ののちに、沖縄の人たちが生み出したのが、ヌチドゥタカラ(命こそ宝)という言葉です。この絵本を読むと、その言葉の意味が分かってきます。自由の森学園中学3年では、沖縄に修学旅行に行きますが、ぜひ行く前にこの絵本を読んでおくといいと思います。いや別に、修学旅行に行かない人も読んでみて欲しいです。自由の森学園の図書館にもあると思うので。

  2007年度・中3の修学旅行では沖縄へ行きました。平和について学んできたのですが、その事前学習として、丸木美術館に行きました。画家 丸木俊、丸木位里さん夫婦の絵が飾られているところです。少し蒸し暑い中(冷房がついていないので)、数時間周って見ていきました。

  沖縄戦のときの様子が、2メートル以上の紙に、大きく、たくさん描かれていました。どれも暗くて、ほとんど黒と赤の絵の具だけしか使われていません。戦争の暗さが伝わってきます。でも事実がそのまま描かれているわけじゃありません。絵の中の死体は、まったく腐乱していないのです。どうしてなのだろうか、と考えてみると・・・ 「そのまま」を描いても、「そのまま」にはならないということのような気がしました。(スケッチでは終わらない絵を目指した、というか)

 

  沖縄戦のときの酷いありさまをそのまま描いたら、グロくて、ショッキングな絵になります。見た人が、「うわぁ・・・」と思うような絵が出来上がります。でも伝えたいのははそんな単純なことではない。「赤い血にまみれた戦場」を描きたかったのではなく、もっと暗くて、黒く塗りつぶされて絶望しかない状況が伝えたかったのではないか、と思います。

 あともう1つ興味深いことがあります。よく見ると、絵の中の人たちには、目玉が描きこまれていないのです。それは何を表すのか? 難しい問いです。・・僕は、瞳(ひとみ)の輝きとは、命もしくは希望を表すのではないか、と思っています。「画竜点睛」という言葉があります(よく「画竜点睛を欠く」というふうに使われるけど)。壁に描いた竜に、瞳を描き込んだ途端に竜が天へ昇っていってしまったという逸話です。瞳は、絵の命だ、という言葉もあります。だから瞳は命じゃないか、と思うのです(短絡的かなぁ・・)。

  それに、絵の中の子どもたちには、瞳が描き込まれています。それは未来に希望を託した、ということのような気がします。

  丸木美術館、とにかく興味深いし、素晴らしいです。埼玉にあるのだし、ぜひ行くことをおすすめします。自由の森学園もそうなのですが、丸木美術館もお金に困っているそうです。やっぱり美術館の経営っていうのは難しいよなぁ。とにかく、丸木美術館がなくならないためにも、行ってみて欲しいです。


関連リンク
丸木美術館 ウェブサイト

自由の森学園中3 沖縄修学旅行


自森人読書 おきなわ 島のこえ ―ヌチドゥタカラ



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