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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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『キリンヤガ』
アフリカのキリンヤガ周辺に住んでいた少数部族キクユ族は西洋文化が侵入してきたためケニヤという国家に呑みこまれていき、滅びかけます。伝統を大切にする人たちは古来の生活を営むため、政府の政策の一環としてキリンヤガという惑星に移住します。惑星を仕切るのはイェールとケンブリッジを出た祈祷師・コリバ。彼は、キリンヤガを守るために奮闘するのですが、矛盾は拡大していき・・・

寓話的なSF小説。

連作短編集的。『プロローグ もうしぶんのない朝を、ジャッカルとともに』『1 キリンヤガ』『2 空にふれた少女』『3 ブワナ』『4 マナモウキ』『5 ドライ・リバーの歌』『6 ローストと槍』『7 ささやかな知識』『8 古き神々の死すとき』『エピローグ ノドの地』収録。

コリバは白人の中で育ちながら、その社会の矛盾に苦しめられ、自分がキクユ族ではなく黒いヨーロッパ人になっていくことに納得できず、西洋文化に背を向け、家族さえ捨てます。そして、キリンヤガにキクユ族のユートピアを復活させようとします。彼は本当に一貫しています。伝統を頑固に守り、老いた者や逆子はジャッカルに食わせてしまうのです。

ですが、最終的にキリンヤガは破綻します。そもそもキリンヤガという惑星を西洋人と科学によって用意してもらったこと自体が矛盾ともいえるし、西洋文化を身につけ、それでもってキクユ人の世界キリンヤガに大きな影響力を及ぼすコリバ自身が矛盾した存在ともいえます。

ですが、彼の気持ちはよく分かります。西洋文化と科学がもたらした害悪は決して小さなものではありません。

ラストはあまりにも哀しすぎます。


今日読んだ本
マイク・レズニック『キリンヤガ』

今読んでいる本
神林長平『グッドラック-戦闘妖精・雪風』
クリストファー・プリースト『限りなき夏』
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