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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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これは面白い、とすすめられて読みました。物凄くかっこいい小説でした。
『ストーカー』
のどかな田舎ハーモントに、突如として〈ゾーン〉が発生します。〈来訪者〉がうみだしたものだと考える人もいますが、それが発生した理由は定かではありません。その内部には不可解な効果をもたらす物がたくさん転がり、物理法則を無視した異常な現象が日々発生しています。ですが、ストーカー(密猟者)たちは危険をもろもせず、密かに〈ゾーン〉へと侵入し、金になるものを持ち出し、うりさばいています。主人公レドリック・シュハルトもストーカーの一人。家族を養うためストーカーとして活躍しています。彼はどんな願いでも叶えてくれるという〈黄金の玉〉の噂をきくのですが・・・

ロシアのSF小説。原題は『路傍のピクニック』だそうです。

ファースト・コンタクトというか、人間は人間以外の存在とコンタクトすることが可能なのか、というようなことが問われています。しかし、宇宙人が登場するわけではありません。具体的には、不可解な事態に困惑する人間とその社会が描かれています。とはいっても高みからそれら語るわけではありません。レドリックとその周囲のことが綴られています。非常に泥臭いです。

〈ゾーン〉というのは〈来訪者〉がピクニックしたあとに残していったゴミなのかも知れない、と科学者が指摘します。だとすると、それに群がりつつも翻弄される人間は蝿のような虫けらなのか、と考えさせられます。

どうしてもレムの『ソラリス』を連想します。

世界を人間中心に解釈し、宇宙さえも人間世界の延長として捉えてしまう王道のSFでないところは共通しています。しかし、微妙に異なる気もします。ストーカーであるレドリックは、宇宙人とのコンタクトなど欲しません。家族とともに出来うる限り幸せに生きていくことを望んでいるだけです。彼は組織や集団に縛られることを拒否し、出来るだけそれらにはめこまれないように生きていこうとします。でも、利己的な部分もあるし、思い通りにいかないことをたくさん抱え込んでもいる普通の人間です。

ラストが素晴らしいです。レドリックの叫びは痛々しいけど、途轍もなくかっこいいです。


読んだ本
A&B・ストルガツキー『ストーカー』

読んでいる最中
まどみちお『ネコとひなたぼっこ』
ルーファス・バトラー・セダー『SWING!』
大江健三郎『芽むしり仔撃ち』
本の雑誌編集部『本屋大賞〈2007〉』
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