自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
十八歳の少女アヤは廃業を決意していた彫物師・彫阿弥のところへ赴き、全身に刺青を彫って欲しいと告げます。彼女は、観世音の刺青によって自分にセックスを強要するある男を圧倒したいと願っていたのです。しかし、彫阿弥は拒否します。若い女の体に彫ることは容易ではないし、刺青は糞なのだというふうに彼は考えていたからです。ですがアヤは刺青にさほどの意味はない、と思いつつもそれを欲し・・・
退廃的な雰囲気が漂っています。
アヤは、刺青を彫ることで自分を追い詰め、生きる力を捻り出そうとします。妙に神々しい感じがします。
彫阿弥は刺青とは何であるのか分からずに迷いつつも醒めています。彼は非常に冷淡です。自分の行為に溺れつつもぎりぎりのところで踏みとどまり、それを凝視しています。だから、甘美ではありません。
彫阿弥の冷淡さが明確になるのはラスト。南無阿弥陀仏と書いて欲しいとアヤに言われたのに・・・ ある意味ではお茶目なのかも知れないけど。
すっきりとしていなくて時折状況を把握しづらくする文体も、作品の雰囲気と合っています。
こういう系統の作家たちの系譜が書けたら面白そうだなぁ、と感じます。
今日読んだ本
藤沢周『刺青』
今読んでいる本
レイ・ブラッドベリ『華氏451度』
G. ガルシア=マルケス『百年の孤独』
魚住直子『園芸少年』
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