自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
菊人は「彼岸先生」を慕っています。彼岸先生は小説家です。屁理屈を捏ね繰り回し、遊んでいることが多いのだけど、決して遊んでいるだけではなく、小説も書いています。だから、小説家なのです。菊人は「彼岸先生」を慕います。そして、奇妙な師弟関係を楽しみます。しかし、「彼岸先生」は精神科病棟に収容されてしまい・・・
軽快な小説。
夏目漱石『こころ』のパロディだそうです。しかし、なんというか、気にしていてもしかたない気がします。『彼岸先生』には語るべき部分はとくにないのではないか、と感じます。感想を書くのは、煩わしいです。解説を読むと、小説には仕掛けがあると書かれていますが。
島田雅彦の小説を読んでいると、真面目に感想を書く気がなくなります。どうでもよくなってくるし、読み通す気力も失せてきます。だからこそ、島田雅彦の小説は良いのかも知れません。
島田雅彦の小説は、いつでも安っぽくて、遊びみたいです。そして、深いようにも思えて、結局のところは贋物のようです。時には、そういう雰囲気が、現代を踏まえたもののように思えてくることもあります。しかし、思えてこないこともあります。『彼岸先生』も、やっぱり、そういう小説です。
別に、読み通す必要はないのではないか。テキトーに捲ってみればいいのではないか。というふうに、書きたくなってきてしまうような愉快な小説です・・・
泉鏡花文学賞受賞作。
読んだ本
島田雅彦『彼岸先生』
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