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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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昨日書き忘れたので。
『羊をめぐる冒険 上』『羊をめぐる冒険 下』
青春三部作最後の長編。僕と鼠と羊男をめぐる物語。多くの台詞はわざとらしくて、様々な設定は寓話的で深くて、全ての言葉が脱臼しているようにみえて、複雑に絡み合っています。意味を見出していこうと思えば、どこにでも意味を発見できます。しかし、だからこそ、難しいです。迷わされます。

小説。

細部にこだわろうとすれば、面白い題材は、幾らでも見つかります。一つひとつの言葉が、意味深長だからです。全てに何らかの寓意が込められていると信じ、作品を解読していこうとするならば、それは壮絶な作業になります。細部にとらわれていると全体が見えなくなってくる気がします。

もしかしたら、批評を無化するような働きが村上春樹の小説にはあるのではないかと感じます。詩人吉本隆明の評論のようです。村上春樹は、いつでも詩を書いているのかも知れません。そうだとするならば、各所に存在している一種の欠乏が、理解できます。

現実に近いけれど、現実には嵌まり込まない「完全にアナーキーな観念の王国」を築き上げようとしてるのは、羊ではなく、村上春樹なのではないか。


読んだ本
村上春樹『羊をめぐる冒険 上』(再読)
村上春樹『羊をめぐる冒険 下』(再読)
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