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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★★

著者:  飯嶋和一
出版社: 小学館

  江戸時代に活躍し、「史上最強」と謳われる相撲取り・雷電と、彼を取り巻く人々の物語。という紹介では、さっぱり何も伝わらないよなぁ・・・

  雷電はもともと農家の生まれでした。本名は為右衛門と言います。彼は、浅間山噴火、地震などの天災と、それらを利用して私欲を貪る商人、侍たちによる人災に、苦しめられている村の人たちの中で育ちました。為右衛門は優しい性格から誰からも好かれる若者になってきます。ですが、父親はそれを心配し、1人息子の彼を相撲取りにしてしまいました。村にい続ければ、いずれ人望のある彼が一揆などの時にみんなから祭り上げられ、辛苦の道を進むのは確実だったのです・・・

  そうして為右衛門は「雷電」となり、相撲取りに変わりました。しかし、彼は相撲取りになっても変わりませんでした。武士達の家来となって嬉々としている相撲取りたちとは一風変わった立場をとります。

  雷電は、土俵の上では「凶悪」とすらいえるほどの強さを発揮しました。しかし、土俵を降りれば途端に優しさを見せ、どんな赤ちゃんでも抱き上げて魔除けをしてあげました。抑圧された人々は彼に希望を託しました。彼は、圧倒的なまでの強さを誇ります。200回以上闘って、生涯にわずか10敗でした。

  ほんとに格好良い。相撲の場面の描写は、圧巻です。だけど最後には、彼は孤独になっていきます。最強故の孤独です。そして、何の関係も無い幕府内の権力闘争に巻き込まれて、罪人に仕立て上げられ・・・ それでも毅然とした態度で役人に臨みます。どんな状況にもめげず、決して倒れません。雷電はほんとに格好良い。

  作者・飯嶋和一は凄い、と読後しみじみ感じました。あらは、探せばいくらでもあるかもしれません。文章だってきちりと整っているといえるようなものではないのです。長いから、最後まで読むのはけっこう大変です。しかし、紙上に全てを叩きつけたような迫力が素晴らしい。読んで感動する小説というのは案外少ないけど、飯嶋和一の作品は感動します。


自森人読書 雷電本紀
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