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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★

著者:  寺田寅彦
出版社: 岩波書店

  「芸術感覚と科学精神との結合によって完成した」と解説者が述べる随筆集。

  『どんぐり』『龍舌蘭』『花物語』『旅日記から』『先生への通信』『科学者と芸術家』『物理学と感覚』『病院の夜明けの物音』『病室の花』『丸善と三越』『自画像』『芝刈り』『球根』『春寒』『春六題』『蓑虫と蜘蛛』『田園雑感』『ねずみと猫』『写生紀行』『笑い』『案内者』『断水の日』収録。

  彼は明治・大正・昭和時代の人なのですが、とても文章が読みやすいことにまず驚きました。やっぱり、明治維新は大きな境目になっているなぁと感じます。それ以前のものは、ほとんど読めないです。明治維新より前のものは、ほとんど外国語と同じといってしまっても良いのではないか、と僕は勝手に思っています。まぁ「日本語」は平易になったかも知れないけど、その代わりとして国家によって方言が潰され、日本語は狭まったともいえるけど。

  『どんぐり』はとても感傷的な作品。だけど、そのあとの随筆には理論っぽいのが続々とでてきます。心について考察しているところでは、森博嗣を連想するような言葉がでてきます。

  最初のあたり、『三国志』『八犬伝』が時折登場したり、「関羽」という文字列があったりするので、おーと思わされます(たぶん『花物語』)。今も昔も読まれている共通のものがあることに感動する、というか。あと、『病院の夜明けの物音』には共感しました。寝ていると、音に敏感になる、というより気になってくる、ということが書かれています。暗い中、1人だと時計の音とかが気になり出すんだよなぁ。なんだか。

  何かをただ描写していたはずなのに、時々ぽんと飛んで、文化論みたいなものにまで発展するところがとても面白いです。そういうふうに連想していくのか。感心させられます。飛躍しているのに、唐突ではなくて、どこか流暢さがあるんだよなぁ。

  『自画像』は面白いです。寺田寅彦が病気で安静にしている時、自画像を描こうと思い立ち、何個か描くのだけどなかなか難しいと述べているもの。彼と、友達の画家とのいろんなやりとりとかは、自由の森学園の美術の授業でも使えそうな感じです。『笑い』は、笑いという現象の分析。笑ってはいけないところでどうしても笑いたくなってしまう自分はおかしいのだろうか、と寺田寅彦が書いているのですが。「何々をやってはいけない」と言われると、それをやりたくなるというのは誰にもあることだよなぁと共感します。どうしてなんだろう。


自森人読書 寺田寅彦随筆集1
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