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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★

作者:  加納朋子
出版社: 幻冬舎

  連作短編集。『トランジット・パッセンジャー』『羅針盤のない船』『笹の宿』『空っぽの箱』『ダイヤモンドキッズ』『待っている女』『ささら さや』『トワイライト・メッセンジャー』収録。

  『トランジット・パッセンジャー』は、自分が突然車に轢かれて死ぬところから始まります。びっくり。そして葬式の場面へと移っていきます・・・ どういうことなのかと思いきや、彼は、幽霊になってこの世に留まり続け、そして妻・さやとユウ坊を見守っていくことに。ほっとします(主人公が幽霊になってほっとするっていうのも変な話だけど)。

  『羅針盤のない船』は、さやがユウ坊を義姉にとられかけるところから始まります。さやは、さやの伯母が遺してくれた家が「佐々良(ささら)」というところにある、ということを思い出したそこへ引っ越すことに・・・ 『笹の宿』では、引越しの際不手際で、旅館・笹の屋に泊まることにしたサヤが奇怪な事態に出会います。しかし、幽霊になったおばあちゃんにとりついて夫が戻ってきて・・・ 『空っぽの箱』は、さやの家に集う3人のおばあさんたちのストーリー、みたいなもの。『ダイヤモンドキッズ』はユウ坊の誘拐未遂事件を描いた作品。『待っている女』はサヤのお隣さんの物語。そのお隣さんはいつも戸を開けて誰かを待っているようなのだが、何を待っているのか全く分からないのですが・・・

  『ささら さや』は、元夫の家族によるユウ坊誘拐作戦再び、の回。ユウ坊が熱をだして慌てていたサヤは、なんとユウ坊をさらわれてしまいますが・・・ 最後の『トワイライト・メッセンジャー』は、幽霊になってしまった夫の1人語り。俺はもうすぐ去るけど、頑張れよ、みたいなメッセージ。最後の物語が一番印象的でした。

  なかなか面白いです。ミステリというよりは、ほんわかとした家族の小説みたいな感じです。その中で巻き起こる日常の謎はまぁそこまで面白いとは言えないんだけど、登場人物たちが魅力的。人を惹きつけるサヤ、幽霊になってこの世に留まり続けるサヤの夫。強烈なおばあちゃん達。みんな面白いです。


自森人読書 ささらさや
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