自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
『ナチュラル・ウーマン』は、松浦理英子の連作短編集。『いちばん長い午後』『微熱休暇』『ナチュラル・ウーマン』収録。
『いちばん長い午後』
少年のような風貌を持つ容子は、花世と分かれてから、スチュワーデスの夕記子となんとなく付き合っていました。ですが、諸凪ハイツでかつて熱烈に愛し合った花世と再会します。
『微熱休暇』
容子は、裏表のない健康的な親友・由梨子とともに休暇を過ごします。そして、惹かれるのですが・・・
『ナチュラル・ウーマン』
大学生の容子と花世は、同人誌の集まりで出会います。二人とも先鋭的な作風で知られ、周囲からは注目されています。二人はいつしか愛し合うようになるのですが、関係は壊れていき・・・
多分、女とは何か、と問うている小説なのだと思います。
作品の順番は並べ替えられています。時間にそって順番に並べていくと『ナチュラル・ウーマン』→『いちばん長い午後』→『微熱休暇』というふうになります。
主人公・容子は同性愛者です。男に従い、子供を生むことを拒否します。そして、女同士で向き合い、セックスに耽溺し、相手を女と看做すことでナチュラル・ウーマンになろうとします。しかし、なかなかうまくいきません。純粋な女とはいったい何かが分からないからです。
その辺りの分からなさが面白いです。ジェンダーという言葉があるけれど、性というものは社会/環境がつくりあげているのかも、と感じます。
読んだ作品
松浦理英子『ナチュラル・ウーマン』
読んでいる本
テッド・チャン『あなたの人生の物語』
ベルンハルト・シュリンク『朗読者』
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