自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
私と、私が恋している無邪気な黒髪の乙女の物語。『夜は短し歩けよ乙女』『深海魚たち』『御都合主義者かく語りき』『魔風邪恋風邪』収録。
『夜は短し歩けよ乙女』
黒髪の乙女は、酔うと顔を舐めだす羽貫さんや、ふわふわして捉えどころのない樋口さんに出会い、誘われ、京都先斗町を闊歩。浴びるように酒を飲むのですが全く酔いません。一方、彼女を追う僕は、ずぼんを剥がされたり、酷い目にあいつつ放浪することになります・・・
『深海魚たち』
黒髪の乙女が出向いていると聞き、僕は古本市に赴きます。黒髪の乙女は「ラ・タ・タ・タム」という絵本を探しています。一方、僕は彼女が、ある本に手を差し出したとき、同時にその本に手を差しだすべく、妄想するのですが、「火鍋」という恐ろしい我慢大会に参加することになり・・・
『御都合主義者かく語りき』
学園祭が行われます。学園祭事務局長は、狂ったようにはめをはずしている人たちを追跡し、注意、あるいは逮捕してまわるのですが、「韋駄天コタツ」と「偏屈王」は捕まらず、各所でゲリラ演劇が行われ・・・
『魔風邪恋風邪』
とんでも風邪が京都を襲います。誰もが倒れていき、京都は閑散としてしまいます。それなのに、活発な黒髪の乙女だけは無事で・・・
恋愛小説。
大袈裟で、滑稽で、顰めつらしくて、引用に満ちていて、しかも愉快で、癖がある森見登美彦の文体は楽しいです。物語の舞台は、何が起こってもおかしくない京都。他の森見作品ともつながりがあります。それを探していくのも楽しいです。
物凄い登場人物たちも楽しいです。とくに、李白という人は何者なのか分からなくて面白いです。血も涙もない高利の金貸しらしく、「電車」という三階建ての巨大な自家用車を所有しているのに、良い人のようでもあって・・・
第20回山本周五郎賞受賞作。2007年第4回本屋大賞ノミネート作(2位)。
読んだ本
森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』(再読)
読んでいる最中
エリック・マコーマック『隠し部屋を査察して』
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