自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
「コロニアリズム」「ピューリタニズム」「リパブリカニズム」「ロマンティシズム」「ダーウィニズム」「コスモポリタニズム」「ポスト・アメリカニズム」といったキーワードから、アメリカというものを見つめていこうとします。文学のみならず、社会や政治のことまで綴られています。まずは、1000年前まで戻り、ヴァイキングたちがアメリカ大陸を「ヴィンランド」と名付けたときから、考え始めていきます・・・
文芸評論。
アメリカ文学の正史自体をさほど知らないので(『アメリカ文学史のキーワード』で少しは触れられている)、なんともいえないのですが、非常に面白いです。読み応えがあります。複雑なアメリカ文学というもののことがおぼろげながら見えてきます。読んでいると、アメリカ文学史は、そもそもまとめきれるものではないような気もします。
しかし、時代も場所も横断し、超越し、文学というものについて考え、それをまとめていこうとするのは楽しいです。
物語のようになっていて、筋があるところも良いです。
むろん、『白鯨』にも触れられています。白鯨の色には、様々な意味が込められているのだそうです。メルヴィルは、白を「いかなる意義にも容易には還元しえない多義的な象徴として設定した」、つまり、高貴や歓喜といったイメージを呼び起こす一方で邪悪や恐怖をも連想させているのだそうです。さらには、白は、白人を連想させ、白鯨の敗北は白人の敗北を連想させ、というふうになっているのだそうです。深いです。
とくに、面白いのは、最後の「ポスト・アメリカニズム」の章。
読んだ本
巽孝之『アメリカ文学史のキーワード』
読んでいる最中
吉本隆明対談集『どこに思想の根拠をおくか』
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