自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
★★★
著者: 飛浩隆
出版社: 早川書房
物語の舞台は、南欧の田舎をモチーフにした仮想空間「数値海岸」。そこでは、1050年の間、永遠のヴァカンスに倦むこともなくAIたちが同じ夏の1日を繰り返していました。ホストである人間が現れなくなったからです。ある日のこと、十二歳の少年ジュール・タピーはジュリーとともに硝視体<グラス・アイ>を拾うため海岸へ赴きます。ですが、区界を破壊する<蜘蛛>が現れ・・・
SF小説。
ヴァーチャル空間を舞台にしたSF小説は数多く存在しています。だから、『グラン・ヴァカンス』自体に独創性というものを感じることはないし、使い古された設定の焼き直しということもできます。だけど、描写が凝っていて、物語も面白いです。
キャラ設定などは、いかにも漫画的/映像的。構成は練られているようには感じられません。とはいえ、小説でしか表現できないようなものもしっかりと盛り込まれています。
官能的、かつグロテスク。
気持ち悪いところがいいです。ヴァーチャル空間が舞台だからこそありえる幻想性というか、脆弱な世界の描き方が秀逸。物語の中に、全ての基盤がぐらっと揺らぐ瞬間というものが存在します。くらくらします。
文章はさほど巧いとは感じられません。日本語として変な部分が多いので気になりました。主語が明確ではなくて妙にぐらぐらしています。けれど、そういう文体が作品の雰囲気を形作ってはいるし、軽いので非常に読みやすいです。
自森人読書 グラン・ヴァカンス-廃園の天使〈1〉
著者: 飛浩隆
出版社: 早川書房
物語の舞台は、南欧の田舎をモチーフにした仮想空間「数値海岸」。そこでは、1050年の間、永遠のヴァカンスに倦むこともなくAIたちが同じ夏の1日を繰り返していました。ホストである人間が現れなくなったからです。ある日のこと、十二歳の少年ジュール・タピーはジュリーとともに硝視体<グラス・アイ>を拾うため海岸へ赴きます。ですが、区界を破壊する<蜘蛛>が現れ・・・
SF小説。
ヴァーチャル空間を舞台にしたSF小説は数多く存在しています。だから、『グラン・ヴァカンス』自体に独創性というものを感じることはないし、使い古された設定の焼き直しということもできます。だけど、描写が凝っていて、物語も面白いです。
キャラ設定などは、いかにも漫画的/映像的。構成は練られているようには感じられません。とはいえ、小説でしか表現できないようなものもしっかりと盛り込まれています。
官能的、かつグロテスク。
気持ち悪いところがいいです。ヴァーチャル空間が舞台だからこそありえる幻想性というか、脆弱な世界の描き方が秀逸。物語の中に、全ての基盤がぐらっと揺らぐ瞬間というものが存在します。くらくらします。
文章はさほど巧いとは感じられません。日本語として変な部分が多いので気になりました。主語が明確ではなくて妙にぐらぐらしています。けれど、そういう文体が作品の雰囲気を形作ってはいるし、軽いので非常に読みやすいです。
自森人読書 グラン・ヴァカンス-廃園の天使〈1〉
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