自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
★★★
著者: 金谷治
出版社: 岩波書店
『孟子』は、中国の春秋戦国時代の思想家・孟子の生涯を見つめながら、その思想を考察したもの。
孟子は、春秋戦国時代(紀元前)に生きた思想家。孔子が確立した儒教の流れの一端を受け継いだ人です。性善説を訴え、当時活躍していた他の思想家たちと意見を闘わせました。しかし現実においては彼の主張(理想論として退けられた)は容れられず、不遇の生涯を送りました。孤高の人物だったようです。
孟子や、儒者の唱えた、「長者を敬い、父母に尽くし、兄弟と仲良くしよう」という考え方は、支配者の統治のために利用された側面があるというのは近代になってから中国で強く言われたことです。そのため、孔子・孟子をこき下ろす人もいます。
結局、儒者たちの言葉は王・諸侯に向けられた提言でした。民衆を慮ってはいても決して民衆の立場に立った意見ではありませんでした。国家をどう形作るか、という大きなはなしばかりを繰り返しているのだから、所詮は支配階級に属する者とみなされてもしかたありません。
しかしその一方で孟子は、「王は軽いのだ、民が重い」とも言いました。彼は、悪い王様なら倒すべきだ、といって革命を認めた人物なのです。そのため後世、その主張はいろんな人物から排斥されることになります。「忠義」という考えを壊す暴論と叩かれました。『孟子』は焼かれたこともありました。
僕は、理想の国家を作るために言葉で闘った孟子は凄い人だ、と思います。博愛(万民平等・反戦)を唱えた墨子の主張ほどは先進的ではなかったとしても、民衆の苦しみを取り払うためにいろんな主張をしたところはかっこ良いなぁと思います。著者の金谷治もそのように論じています。
「儒教」というものはひとくくりにできないなぁと思います。まぁそれは、キリスト教をひとくくりのものとして扱えないのと同じことです。どこまでも枝分かれして、時代によって全然違うものに変化しているからなぁ・・・ それを追っていて歴史を知るのは、楽しいなぁと思いました。
自森人読書 孟子
著者: 金谷治
出版社: 岩波書店
『孟子』は、中国の春秋戦国時代の思想家・孟子の生涯を見つめながら、その思想を考察したもの。
孟子は、春秋戦国時代(紀元前)に生きた思想家。孔子が確立した儒教の流れの一端を受け継いだ人です。性善説を訴え、当時活躍していた他の思想家たちと意見を闘わせました。しかし現実においては彼の主張(理想論として退けられた)は容れられず、不遇の生涯を送りました。孤高の人物だったようです。
孟子や、儒者の唱えた、「長者を敬い、父母に尽くし、兄弟と仲良くしよう」という考え方は、支配者の統治のために利用された側面があるというのは近代になってから中国で強く言われたことです。そのため、孔子・孟子をこき下ろす人もいます。
結局、儒者たちの言葉は王・諸侯に向けられた提言でした。民衆を慮ってはいても決して民衆の立場に立った意見ではありませんでした。国家をどう形作るか、という大きなはなしばかりを繰り返しているのだから、所詮は支配階級に属する者とみなされてもしかたありません。
しかしその一方で孟子は、「王は軽いのだ、民が重い」とも言いました。彼は、悪い王様なら倒すべきだ、といって革命を認めた人物なのです。そのため後世、その主張はいろんな人物から排斥されることになります。「忠義」という考えを壊す暴論と叩かれました。『孟子』は焼かれたこともありました。
僕は、理想の国家を作るために言葉で闘った孟子は凄い人だ、と思います。博愛(万民平等・反戦)を唱えた墨子の主張ほどは先進的ではなかったとしても、民衆の苦しみを取り払うためにいろんな主張をしたところはかっこ良いなぁと思います。著者の金谷治もそのように論じています。
「儒教」というものはひとくくりにできないなぁと思います。まぁそれは、キリスト教をひとくくりのものとして扱えないのと同じことです。どこまでも枝分かれして、時代によって全然違うものに変化しているからなぁ・・・ それを追っていて歴史を知るのは、楽しいなぁと思いました。
自森人読書 孟子
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