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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★

著者:  乙一
出版社: 講談社

  怪盗は、富豪の家から次々といろいろな財宝を盗んでいきました。現場に残されていたカードには、【GODIVA】と書かれていたため、怪盗はゴディバと名付けられました。それを追うのは探偵ロイズ。彼はその国の子ども達のヒーローです。寂れた町に住むリンツもロイズに憧れている少年の一人でした。彼は父に買って貰った聖書に挟まっていた紙を見て、どきりとします。それには風車小屋の絵がかかれており、ゴディバの残したものだと思われたからです。彼は探偵ロイズに手紙を送ります・・・

  乙一らしい作品。

  平山夢明の『独白するユニバーサル横メルカトル』に収録されている作品群と近い雰囲気がします。陰惨な世界が描かれています。ヒーロー探偵ロイズは、ヒーローではないし、勧善懲悪の物語にはなりません。善も悪も混じりあっているわけです。

  移民である主人公リンツへの差別が印象に残ります。しかし、そういう重いテーマが扱われているのですが、どこか童話的な静かさが作品全体に立ち込めています。そこらへんが乙一らしさなのかなぁ、という気がします。

  暗い物語だけど、救いがないわけではありません。最後には、妙に明るい気分になります。けっしてハッピーエンドとはいえないと思うんだけど、世の中捨てたものではないな、と思わされます。その辺りも巧みです。

  講談社ミステリーランド。ひらがな、カタカナがやたらと多くて、その上文字が大きいのでとても読みやすいです。


自森人読書 銃とチョコレート
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