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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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著者:  スタニスワフ・レム
出版社: 国書刊行会

  心理学者ケルヴィンは、ソラリス上空に浮かぶステーションで発生した異常を調査するためにそこへ赴くのですがステーションは半ば放棄されていました。その上、出迎えてくれた研究者の説明は全く要領を得ません。しかも、自分が原因で自殺したはずの恋人ハリーが目の前に現れ、ケルヴィンは有機的な反応を示す海によって覆われている惑星ソラリスの謎の中へと取り込まれていくことになります・・・

  『ソラリス』は、ポーランドのSF作家スタニスワフ・レムが1961年に発表したSF小説。

  早川書房から出版された旧訳『ソラリスの陽のもとに』が有名なようですが、国書刊行会から2004年に出版された新訳を読みました。『ソラリス』新訳は、ポーランド語から直訳し、ソ連による検閲のために削られた部分が補完されているそうです。

  科学的でありながら哲学的。

  赤い色をした太陽と青い色をした太陽に引っ張られながら不可解な軌道を描くソラリスという惑星のことを考えていくと人間中心主義(人間形態主義)から脱することができない人間というものの限界が露になってきます。無機質なステーションと有機的な海との対比も素晴らしいです。科学によって読み解くことができない海によってステーションとその中に住む人たちはじょじょに侵食されていきます。その図式自体が非常に象徴的。

  ケルヴィンとハリー(らしきモノ)の愛の行方も気になります。

  愛とは何なのか。命とは何なのか。人とは何なのか。面白い状況を仕立て上げ、様々なことを考えさせてくれるところはいかにもSF的。だけど、科学や進歩に対する信仰を持っていない(というか疑いを抱いている)ところはSFらしくありません。『ソラリス』はSFを突き抜けたSFなのではないか、と感じました。摩訶不思議な傑作です。


自森人読書 ソラリス
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