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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★★

著者:  中島敦
出版社: 新潮社

  唐の時代、李徴という男がいました。彼は、秀才として知られる優秀な人物でした。しかし狷介で自尊心、自負心が強く、つまらない官吏たちの下につくのをいやがって役人をやめます。そして、故郷へ帰り、詩人として生きていこうとしますがうまくいかない。その内痩せ細っていき、眼光ばかりがギラギラするようになってしまいます。そして最終的には貧窮に苦しみ、妻子のために再び役人となりますが同輩たちはみな高官となっていました。以前、彼が「鈍物」とみなしていた者たちが、彼の上に立つことに耐えられなくなった李徴は、とうとう発狂寸前となり、ある夜意味不明なことを絶叫しながら闇の中に失踪してしまいます・・

  その後、以前李徴と親しかった友人が、商於の地をたち、ある林中の草地を通りかかった時、人食い虎に襲われます。しかしその人食い虎は、李徴の親友を襲うのを途中でやめます。果たして、信じられないことにその虎が李徴だったのです。人食い虎と化した李徴は、親友にこれまでの経緯と、嘆きを語ります・・・

  清の時代の説話集『唐人説薈』の中の、「人虎伝」を元にしているそうです。短編なのですぐ読めます。中島敦の名文は素晴らしいです。漢文を崩していったような文章なのですが、もうこれ以上削るところも、つけ加えるところもない、と感じさせてくれます。凄く難しそうな気がするけど、こういう文章を1度まねして書いてみたいなぁ、と思います。

  そういえば北方謙三も、中島敦の文章を意識して『三国志』を書いている、というはなしを聞きました。いろんな人が中島敦の影響を受けているのかもなぁ。

  人食い虎になってしまった李徴の嘆きの痛々しさが伝わってきます。『山月記』は、何度も読み直している好きな作品のひとつです。


自森人読書 山月記
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