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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★

著者:  ジャン・コクトー
出版社: 角川書店

  病弱な少年ポールは、大人に媚びない暴れ者ダルジュロに憧れていました。ですが、ダルジュロは弱いポールのことを好ましく思っておらず、雪合戦の時、彼に雪を当て気絶させてしまいます。級友だったジェラールは、ポールを彼と彼の姉エリザベートが住む部屋へと連れ帰ります。そこは、子供たちが築き上げた子供だけの空間でした・・・

  ジャン・コクトーはフランスの詩人・芸術家。

  善悪を見分けられない子供の残酷さを扱った「小説詩」だそうです。そこまで恐ろしいとは感じなかったし、別に反社会的だとも思わなかったけど、鮮烈ではあるし、狭い自分の空間の中に閉じこもり、いつでも何かにとりつかれているポールらの姿が印象的でした。

  訳者も書いていますが、なんだか妙に色が感じられないです。黒と白とそれらの狭間にある色だけでつくられているような感じ。しかし飽きません。物語の構成が綺麗です。逃れがたい破局へと向かっていくラストの辺りがとくに良いなぁと感じました。

  文体も特徴的。ポールらの生活を些細な点まで写し取った即物的な文章と、大仰で詩的な文章(というか、警句のようもの?)が並び、融合しているところが面白かったです。エリザベートが巫女にたとえられ、物語自体が子供の儀式のなかにあるためか、妙に生活臭のようなものが欠けています。そのため、寓話的です。

  やたらと回りくどい表現がなかなかに良かったのですが、それとは別に日本語としてしっくりこない部分が随分とありました。それは詩的ということで許されるのだろうか。いまいちよく分からないです(角川書店。東郷青児訳)。


自森人読書 怖るべき子供たち
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