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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★

著者:  笹生陽子
出版社: 角川書店

  主人公は兎丸エイジという17歳の少年。彼は、奔放な母と腕白な異父弟・ヒロトに振り回され、高校に通いつつも一方では家事全般を担当し、兎丸家というものを支えています。父親は不在。そもそもエイジが生まれる前からいません。母が外国へと出張に赴き、ヒロトが水疱瘡にかかった時に、杉尾さんを家に呼んでから普通の日々が崩れ始め・・・

  なかなか面白かったです。父親と出会い、心をぐらつかせてしまう少年の物語。

  青春小説というものは、どうしても美しい物語になりがちです(たとえば『翼はいつまでも』という青春小説は、青春をファンタジックなまでに美しく描き出す)。しかし、『ぼくは悪党になりたい』は、キラキラしていない青春というものをみごとに捉えています。本当はそんな感じだよなぁ、と納得。

  エイジはどんどんと追い詰められていきます。けど全体の雰囲気は明るくて良いです。

  それにしてもエイジは本当に阿呆だなぁ。まぁ堕ち続けていく惨めな最後らへんの場面では少し応援したくなるけど、全体としてはじれったいなぁと思いました。勝手にして下さい、という感じ。彼が、自分とうまく付き合いきれていないのがよく分かります。

  最後も悪党になるわけじゃないし、本当に中途半端です。真面目な人間が、いきなり悪党になろうとしてもできるわけがないのか。そこがリアル。


自森人読書 ぼくは悪党になりたい
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