自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
チャーリー・ジョンズは、銀色の空の下で目覚めます。彼はローラへの愛を忘れられません。しかし、そこは、彼が生きてきた世界とは、異なっていたし、ローラはいませんでした。周りにいるのは、奇天烈な格好をしたレダム人です。彼らは、自分たちの世界をどう思うか、率直な意見を聞かせてくれれば、もとの世界に戻す、と約束してくれたのですが・・・
1960年に発表されたSF小説。
異世界レダムの物語と、アメリカの一般的な家庭の物語が交互に綴られています。セックス/ジェンダーの問題を浮き彫りにしています。
読みすすめていくと、レダム人が築き上げた奇天烈な世界のことが、少しずつ分かってきます。その過程は楽しいです。彼ら(という言い方は間違っているけど)は、男ではないし、女でもありません。性別が存在しないのです。だから、彼らは人間の異常さを映し出す鏡になります。
最後まで、予想がつきません。意外なラストが待っています。
シオドア・スタージョンのテーマは、愛です。しかし、その愛は性愛を含みますが、性愛だけではありません。深いです。原始的なキリスト教が唱えた愛というものに関する考察がなされています。
チャーリー・ジョンズは同性愛を蔑みます。差別を捨て切れません。人より上に立ちたいと望んでしまう人間は、差別を捨て切れないのかも知れない、と感じます。しかし、そういった差別を帰してしまったレダムがユートピアといえるのかどうか。考えさせられます。殺し合いが続く人間の世界と比べてみれば、それほど悪くない、とは思いますが。
読んだ本
シオドア・スタージョン『ヴィーナス・プラスX』
読んでいる最中
コードウェイナー・スミス『ノーストリリア』
菅浩江『雨の檻』
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