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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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冬休みに半分まで読んで、それから置きっぱなしにしていた『告白』を今日読みました。文庫でも800ページは長い・・・ だけど、最後のあたりは一気呵成に読めてしまいます。それだけ読みやすくて、乗りやすい文章です。
『告白』

「河内十人斬り」という実際に起きた大量殺人事件を取り上げた小説です。なぜ、犯人である熊太郎と、その友である弥五郎は10人もの人間を次々と殺してしまったのであろうか・・・? というよりも、熊太郎という男はなぜに「孤独」なのだろう? 自分の考えていることと、吐き出される言葉が一致しないことで苦しむ彼の苦悩を追っていった物語です。

町田康の冷静な分析(著者が物語に口を挟む)と、暴走しまくりでぶっ飛ぶ文体。それに加えて、主人公・熊太郎のスパイラルのような思考の追跡、どれもおかしくて笑えます。
深刻なのに滑稽、いや滑稽にして深刻、なのです。

最後の部分だけしかなかったら、熊太郎はなんだかよく分からない理屈で人を次々と殺す極悪非道な理解できない「やつ」としか思えなかっただろうけど、そこに到るまでの彼の人生が語られることで、熊太郎も人間の1人なんだということがよく分かります。

言いたいことは山ほどあるのにそれを言語化できない熊太郎。言葉ってなんだろうか、とても考えさせられます。

面白い、読みやすい、考えさせる、凄い本だなぁと思います。

第四十一回谷崎潤一郎賞受賞作。2006年本屋大賞候補作(7位)。


今日読んだ本
町田康『告白』

今読んでいる作品
西東登『壷の中』
五木寛之『冥府への使者』
森村誠一『紺碧からの音信』
森村誠一『悪魔の飽食』
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