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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★

作者:  高田崇史
出版社: 講談社

  百人一首を深く愛していた財産家、真榊大陸が何者かに殺害されます。彼は、百人一首の中に含まれているある句を握ったまま、倒れていました。それは、多分ダイイングメッセージ。いったい何を表しているのか・・・? そもそも百人一首そのものにも、いろんな謎が隠されています。それらの謎を、博覧強記の薬剤師、桑原崇が解明していきます。

  「百人一首の謎」を解明する部分は、楽しかったです。結構牽強付会のような気もします。でも、通説に対して面白い異論を唱える時はかなり強引にやらないとだめなものだし、これは研究書ではなくて、楽しむためにある小説なのだからそういうことも許されるのではないか。面白いこと考えるなぁ、というふうに受け止めました。

  しかし、現実に起きた殺人事件の解明はふざけている、と僕は感じました。まるで京極夏彦。感覚は疑わしいものだ、みたいな方向に推理を進めていき、最後までそれを押し通すわけです。なんというか、脱力しました。

  ようするに、事件の決着のつけ方は、京極夏彦の亜流としか思えないような感じなので僕はちょっと納得できないのですが、百人一首の謎があるおかげで全体としては楽しめました。とくに、主人公による歴史の解説が面白いです。セリフと地の文の区別がつかなくなるほど、どこまでも延々と続いていくのだけど、平安貴族のドロドロした闘いを分かりやすく説明してくれて、読まされます。

  第9回メフィスト賞受賞作品。


自森人読書 QED―百人一首の呪
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