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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★★

著者:  平安寿子
出版社: 講談社

  突如として「プチ家出」してしまい、何年たっても帰ってこない母親。取り残されても飄然というか、のんびりと構えて何もしない父親。ダメな男に貢ぐのが趣味で「家族」というものを笑い飛ばす姉。「かわいそう」な自分の境遇を嘆くのが大好きで生真面目な妹。そんな人たちで構成されている片岡家と、その周囲の人々の物語。

  「普通小説」の傑作。

  どのジャンルに属しているともいえないような、「普通」の人の「普通」な日常を描いた小説だから、普通小説と名づけてみたけど、「家族小説」と呼んでもいいかも知れません。

  家族のつながりの意味、を描いた小説として読めます。片岡家の人々は、全員揃ってちょっと待てよと言いたくなるほど、自分のことばかり考えています。しかし、読んでいると、表面的にはバラバラの家族に見えるけど、どこかではしっかりとつながっているらしい、ということがわかってきます。

  人に利用される素晴らしさ、を上手く描いてみせた小説でもあります。登場する人たちはみな互いに互いのことを利用し合っています。「利用」と書くと、どうしても陰険な綱引きを想像するけど、時にはそういうことも必要ではないか、という気にさせるほど、結果として片岡家の人達は誰もが楽しげです。今の日本に足りないのは、「人に利用される」ことを許容する心かも、と感じました。

  とはいえ、決して美談にはなりません。常識とか、道徳とかそういうものを全て蹴飛ばしてしまう強力なパワーに満ちています。シニカルな視点に立てば、生きることはコメディになるんだなぁ、と読んでいて強く感じました。


自森人読書 グッドラックららばい
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