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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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『ロリータ』
ヨーロッパの知識人ハンバート・ハンバートは、幼い頃慕っていた初恋の女性のことが忘れられず、いつでも「ニンフェット(不可解な魅力を放つ少女)」を捜し求めるようになり、そして亡命先のアメリカで12歳の少女のドロレス・ヘイズを見出します。ハンバートは、彼女のことをロリータと呼び、追い求め、彼女の母親と結婚し、ロリータに迫るのですがロリータは実は奔放な少女で・・・

若島正による新訳。

知識人ハンバート・ハンバートが書いた手記ということになっています。だから時折混乱するし、明快とはいえない表現が多いし、どこまでが現実でどこからが妄想(作り話)なのか分かりません。彼は信用できない語り手なのです。その混線した感じが非常に面白いです。

ハンバート・ハンバートは、ロリータを可憐な少女だと繰り返し書きますが、それほど可憐な少女だとは思えません。彼女は汚い言葉を用い、簡単にセックスする生意気な女の子です。

『ロリータ』は、アメリカというものを表現した文学だと指摘する評論家もいるそうです。老いたハンバートはヨーロッパであり、若く野卑なロリータはアメリカというふうに当てはめて考えてみると面白いです。

変態的な小説に見えるが実はそうではなくて芸術的な文学なのだというふうに、やたらと若島正をはじめとする博識な人たちが様々なところで書きまくっているけど、「教養」ある人たちを刺激する言葉遊びと仕掛けに満ちた小説でありながら、ある意味ではポルノ小説としても読めて、それでいて推理小説のようでもあって、難解でポストモダンチックな小説として読むことも可能なところが素晴らしいのかなぁ、と感じました。

もう少したくさん本を読まないと、全てを読み解くことはできないのかも知れない。再読したいです。そうしたらもっと楽しめるだろうか。



読んだ本
ウラジーミル・ナボコフ『ロリータ』

読んでいる最中
ブライアン・W・オールディス『地球の長い午後』
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