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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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『順列都市〈下〉』
物語の舞台は近未来の地球。人格や意識や記憶さえもコンピュータの中に取り込むことが可能になり、富豪たちは<コピー>としてコンピュータの中でいつまでも生き続けるようになります。そこへ、ダレムという男が現れます。彼は、たとえ宇宙が消滅しても安全でいられる場所を見出すことができると言い出すのですが・・・

SF小説。

生粋のサイエンス・フィクションと呼ぶにふさわしい作品。イーガンはトンデモと言われかねないようなアイディアに、真正面から挑みかかります。少し強引な気もするけど、凝っていて素晴らしいです。細部までよく練られています。

人物描写はぎこちない気もするけど、別に変なわけではありません。

あまりにも様々な物が詰め込まれすぎているので訳が分からなくなるのですが、<コピー>に関する問題(倫理的にどうなのか、<コピー>は本人とは異なるか)、塵理論(その発見・解明・利用)、不死と罪の問題、世界の創造に関する問題(人は神/創造主たりえるか、倫理的に許されるか)、擬似的なファーストコンタクトなどが扱われているようです。

カフカ、『ユリシーズ』といった作品が、名前だけとはいえ少し登場するところは面白いです。SFというジャンルにこだわりつつもその中にすんなりと収まるつもりはない、というイーガンの意思表示なのかなぁ、と感じます。影響を受けているみたいだし。

とにかく示唆に富んでいます。

科学は人に何をもたらすのか考えさせてくれます。もしかしたら、科学は生命そのもの/生きるという行為自体を解体していくのかも知れない、と感じました。


読んだ本
グレッグ・イーガン『順列都市〈下〉』

読んでいる最中
A&B・ストルガツキー『ストーカー』
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