自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
少年は生まれたとき唇を閉じていましたが医師は強引にひらき、唇に脛の皮膚を移植します。すると、唇に産毛が生えてきます。寡黙な彼の友人は、デパートの屋上で生きた象インディラと、壁の隙間に挟まってしまった女の子ミイラだけでした。しかし、壊れたバスの中で生活している巨漢のマスターにチェスを習い、チェス盤の下でチェスをするようになります。そして、「盤下の詩人」リトル・アリョーヒンといわれるようになり・・・
チェスを扱った小説。
ぐいと心を掴む気持ち悪さとそれを包み込むような温かさが同居しています。唐突に襲い掛かってくる死が印象的です。痛々しい死が物語を動かしていきます。
海のように深くて広いチェスの世界を描き出す詩のような文体が楽しいです。
凄いものを持っているのだけど、社会には巧く適応していけない人ばかりが登場します。主人公の少年にしろ、マスターにしろ、ミイラにしろ、老人ホームの人たちにしろ、どこか変です。しかし、だからといって排除されることはなく、社会のはずれというか、深みで生きています。ポール・オースター作品のよう。
少し変な部分があろうとも矯正せずに、温かく見守ってくれる心の広い人たちが、主人公の周囲にはいます。彼らは、変な部分を見過ごすわけではありません。むしろ直視して、真摯に向き合おうとします。それが良いです。小川洋子の作品だということを強く感じます。
本屋大賞候補作。
読んだ本
小川洋子『猫を抱いて象と泳ぐ』
読んでいる最中
E・M・フォースター『ハワーズ・エンド』
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