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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★

著者:  三崎亜記
出版社: 集英社

  舞坂町ととなり町との間に戦争が起こり、舞坂町町民の主人公は偵察任務をまかされました。彼は、香西さんと偽装結婚してとなり町に潜入することになります。しかし全然実感が湧きません。血が流れないからです。「戦争」ってなんなのか? 偵察任務につくことで戦争に加担したことになるのか? 主人公は悩むのですが・・・

  三崎亜記のデビュー作。第17回小説すばる新人賞受賞作。直木賞候補作。淡々としているので最初は少し退屈でした。しかし、読み進めていくうちに慣れてきました。

  「戦争」というものを把握できない主人公が結局、香西さんと一緒にいられなくなる/セックスできなくなることに唯一「戦争による痛み」を覚えた、という部分にはとても考えさせられました。彼は、セックスによって誤魔化されてしまって結局「戦争」を理解できなかったのではないか。

  最後まで、となり町との戦争とはなんだったのか分からないです。町の都合でいつの間にか始まって、そしていつの間にか終わっていて。でも、もしかしたら本当の戦争も同じようなものなのかも知れないとも感じました。とくに現代の戦争は。目に見えないから殺し合っていても実感が湧かない。だから、リアルな出来事として認知できないのかも知れない。

  香西さんが、まるでゲームのキャラのようで、現実感に欠けているのが印象に残りました。何も「リアル」なものがない時、どうすれば良いのか。

  いろんなことを考えさせられる秀作。


自森人読書 となり町戦争
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