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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★★

著者:  恩田陸
出版社: 幻冬舎

  九州の水郷都市、箭納倉。3件も失踪事件が続いた。失踪したのは、みな堀の近くに住む老女たちでした。いったい何が起こっているのか・・・? 不思議なことに彼女達は記憶を失ってひょっこり帰ってきたのです。宇宙人にでもさらわれたのでしょうか。事件を追うものたちは、「人間もどき」の存在に気付きます。なんと帰ってきた人たちは、本人とまったく同じでありながら、別人だったのです。彼らは1人ひとりでありながら、「つながって」もいました・・・

  全く違うタイプの物語なのですが、梨木香歩の「沼地のある森を抜けて」を思い浮かべます。ぶつかる全体と個。一緒になりたい、同化したいと願う気持ち。それとともに独立していたいという気持ち。それがギシギシとぶつかります。

  最後みんなが1つの意思につながるのは、僕にとってはいやでした。納得できないです。1つになりたいというのは、決して究極の形ではなくて、全てをリセットした「1」に戻るだけのような気がします。ゆりかごへ戻ってしまう、というか。まぁ「月の裏側」ではそこにもしっかり触れています。最終章の一つ前までは、みんな同化してしまうことを嫌がります。でも、最後ですとんと騙されたみたいに受け入れてしまうのです。

  最後も爽やかには終われません。どこかじとっとしているなぁ。

  そういえば、爆笑問題の大田が毎回下ネタで語る、「一緒になりたいけど一緒になれない、そのすれ違いこそ人間の面白さだ」という哲学っぽいのとも似ている気がしました。


自森人読書 月の裏側
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