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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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★★

著者:  ポール・アンダースン
出版社: 東京創元社

  核戦争後、世界はスウェーデンを中心にして再興を果たしました。人類は、飛躍的な科学の進歩にも助けられ、様々な惑星に人間を派遣しました。そして人類が住めるかどうか確かめようとしたのです。しかし、なかなか人間の移住可能な地は見つかりませんでした。そんな中、乙女座ベータ星を目指して50人の男女を乗せたレオノーラ・クリスティーネ号は地球を出発します。彼らは順調に旅していきます。しかし、途中で事故が発生し、減速装置が破壊されてしまいます。レオノーラ・クリスティーネ号は止まることができず、どんどん加速していき、何億年もの時間が過ぎ去り・・・

  アメリカのSF小説。

  いかにもSFらしい作品。壮大な法螺をきちりと描き出していくところが非常に面白かったです。しかし、何もかもが都合よくいきすぎだろう、と思ってしまいました。極限状況では、自殺者が出ない方がおかしいのではないか。

  閉鎖的な船内で繰り広げられる愛憎劇は熾烈です。そういえば、船内はフリーセックス状態なのですが、やっぱりそういう面は書かれた時代(『タウ・ゼロ』の場合は1970年代)に影響されるのかなぁ、と感じました。昔は、未来そのような状態になると思っていたのかなぁ、SF作家は。

  それにしても狭い空間においては、独裁が最も効率が良いのか。分からないけど、それの悪い点、破綻が書かれないところなどは妙に甘い気がします。

  長大でなく、読みやすい点は良かったです。よくできた、正統的なSF小説。


自森人読書 タウ・ゼロ
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