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自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
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著者:  オラフ・ステープルドン
出版社: 国書刊行会

  肉体から解き放たれた主人公「わたし」は時空を超越し、太陽系の彼方へと宇宙探索の旅に出ます。彼はじょじょに覚醒していき、棘皮人類、共棲人類、植物人類などの世界を巡っていきます。そんな中で、至高の創造主「スターメイカー」を追求するうちに宇宙の発生から滅亡までを垣間見ることになります・・・・・

  1937年に出版された壮麗なるSF小説。

  「思弁的な作品」というふうに紹介されていたので、警戒しながら読み始めたのですが、最初はけっこうソフトで、しかも面白いのでどんどんページをめくっていくことができました。ですが、ラストに近づいていくにつれて難解になってきます。最終的には、頭がパンクしてしました。

  「究極のSF」という褒め言葉もあながちはずれていないのではないか、と感じます。人間・文明・精神とは何か、ということを深く冷徹に追求した哲学的な作品。とくに、共棲/共生というテーマが繰り返し語られています。

  作者/主人公がキリスト教を信仰している英国人なので、作品にもキリスト教の影響が色濃く感じられます。精神というものに重きを置くところは非常に宗教的だし、創造主スターメイカーの扱いや、世界を二元論(「善と悪の対立」「文明と野蛮の対立」)で把握しようとする作者/主人公の姿勢は一神教的。その辺りには馴染めないものを感じました。

  しかし、『スターメイカー』は、まぎれもなく傑作。僕には到底理解できない部分も多々ありましたが、とにかく凄いです。

  楽園は決して実現しない、実現しても破壊されるというどうしようもないニヒリズムを抱きつつも世界/現実とコミットし、「共生」を唱え続ける作者には惚れ惚れします。しかも、第二次世界大戦前夜である1937年にそのようなことをやってのけたというのは本当に凄いです。


自森人読書 スターメイカー
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