自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
★
著者: あさのあつこ
出版社: 教育画劇
主人公は、自分に絶対といってもいいほどの自信を抱くピッチャー・原田巧。自尊心が強くて威圧的で、あまり人に心を開きません。なれなれしくされることを嫌います。基本的にクール。周りとぶつかりつつも、じょじょに周りを変えていく不思議な力を持ってるみたいです。でも、どう考えてもいやな奴だよなぁ。
登場する人たちは・・・ 巧との関係で苦しむけど、あくまで巧とバッテリーをくむキャッチャー・永倉豪。病弱で、激しい運動の出来ないが、同情をされるのはきらいで優しくて周りを和ませる巧の弟・青波(せいは)。人望があり、野球を愛する元キャプテン・海音寺。オトムライのあだなのある管理主義の教員、戸村。横手第二中学校の4番にして天才打者といわれる門脇秀吾。門脇の親友にしてひねくれまくっている男・瑞垣俊二。
僕はあさのあつこの文章はあまり好きじゃありません・・・ なんていうんだろう。脳内に映像が浮かび上がってくるシンプルな文章を書くのは恩田陸の方がうまい。揺れ動く子どもから大人への移り変わりの時期の様子を書くのは森絵都の方がうまい。では、あさのあつこの良さというのは何か?
「少年の心を描ききっていること」や、「不器用さ・温かさ」があげられています。でも、巧は幻想の中のキャラクターのような気がします。野球などの、スポーツという協調性を求められる中で、孤高を保つ、というのは自己満足でしかないし、それでは野球ができません。それに普通、上級生がいて下級生はあまり口出しできないものです。どうしてそれが許されるのか、というと・・・
あさのあつこは、上級生たちを退場させるために、「巧へのリンチ事件」を起こしてしまいます。上級生たちが巧を鞭打ってリンチしたので退部する、という都合の良いストーリーをつくってしまったのです。だけどこんなの現実にはありえません。いじめというのは基本的にもっと陰湿なものです。中3の男の子が、そんなことをやるとはとても思えません。高校生のいじめにしたって「鞭打つ」なんて、そこまでやらないだろう、おふざけにしたって。こんな理解不能な場面いれておいて、児童小説なのかな。
野球をテーマにしているようですが・・・ リンチ事件で全国大会出場も辞退してしまいます。そしてもう物語としての展開もないので、非公式試合で隣の学校と戦うだけ。試合としてはあまり面白みもないので、原田巧と永倉豪の関係とかそこらへんにばかり目がいきます。
巧を見ると、野球にうちこみ、永倉豪によりかかり、そして恋人がいない。少女が登場し、巧の憧れの人になったりしたら大変です。兄弟愛や友情を越えてしまってはいけないのです。あさのあつこが書くと、決して恋愛小説にはならない。男同士の友情(幻想のような・・)しかない。あさのあつこって、恥ずかしがりのやおい好きですか。うーんなんだかなぁ。
極めつけはラストのシーン。あのラストシーンは明らかに逃げだ、と僕は感じました。巧の孤独と野球のもつ協調性との間にどんな整合性をとっていくのか、少しは楽しみにしていました。でもまったく物語は展開せず、結局あんなありきたりでどうしようもないラストに落ち着くとは・・・ 落胆というかなんというか、期待はずれでした。
ある人の言葉を借りるなら、「あさのあさこは少女が書けない作家」です。それは好都合だったのかも、と思います。大人の憧れる少年像が生まれたのです。バッテリーは恥ずかしがりやの大人向け萌え小説だなぁ、と思いました。いやぁ、なんだか散々なこと言ってるなぁ・・・
自森人読書 バッテリー
著者: あさのあつこ
出版社: 教育画劇
主人公は、自分に絶対といってもいいほどの自信を抱くピッチャー・原田巧。自尊心が強くて威圧的で、あまり人に心を開きません。なれなれしくされることを嫌います。基本的にクール。周りとぶつかりつつも、じょじょに周りを変えていく不思議な力を持ってるみたいです。でも、どう考えてもいやな奴だよなぁ。
登場する人たちは・・・ 巧との関係で苦しむけど、あくまで巧とバッテリーをくむキャッチャー・永倉豪。病弱で、激しい運動の出来ないが、同情をされるのはきらいで優しくて周りを和ませる巧の弟・青波(せいは)。人望があり、野球を愛する元キャプテン・海音寺。オトムライのあだなのある管理主義の教員、戸村。横手第二中学校の4番にして天才打者といわれる門脇秀吾。門脇の親友にしてひねくれまくっている男・瑞垣俊二。
僕はあさのあつこの文章はあまり好きじゃありません・・・ なんていうんだろう。脳内に映像が浮かび上がってくるシンプルな文章を書くのは恩田陸の方がうまい。揺れ動く子どもから大人への移り変わりの時期の様子を書くのは森絵都の方がうまい。では、あさのあつこの良さというのは何か?
「少年の心を描ききっていること」や、「不器用さ・温かさ」があげられています。でも、巧は幻想の中のキャラクターのような気がします。野球などの、スポーツという協調性を求められる中で、孤高を保つ、というのは自己満足でしかないし、それでは野球ができません。それに普通、上級生がいて下級生はあまり口出しできないものです。どうしてそれが許されるのか、というと・・・
あさのあつこは、上級生たちを退場させるために、「巧へのリンチ事件」を起こしてしまいます。上級生たちが巧を鞭打ってリンチしたので退部する、という都合の良いストーリーをつくってしまったのです。だけどこんなの現実にはありえません。いじめというのは基本的にもっと陰湿なものです。中3の男の子が、そんなことをやるとはとても思えません。高校生のいじめにしたって「鞭打つ」なんて、そこまでやらないだろう、おふざけにしたって。こんな理解不能な場面いれておいて、児童小説なのかな。
野球をテーマにしているようですが・・・ リンチ事件で全国大会出場も辞退してしまいます。そしてもう物語としての展開もないので、非公式試合で隣の学校と戦うだけ。試合としてはあまり面白みもないので、原田巧と永倉豪の関係とかそこらへんにばかり目がいきます。
巧を見ると、野球にうちこみ、永倉豪によりかかり、そして恋人がいない。少女が登場し、巧の憧れの人になったりしたら大変です。兄弟愛や友情を越えてしまってはいけないのです。あさのあつこが書くと、決して恋愛小説にはならない。男同士の友情(幻想のような・・)しかない。あさのあつこって、恥ずかしがりのやおい好きですか。うーんなんだかなぁ。
極めつけはラストのシーン。あのラストシーンは明らかに逃げだ、と僕は感じました。巧の孤独と野球のもつ協調性との間にどんな整合性をとっていくのか、少しは楽しみにしていました。でもまったく物語は展開せず、結局あんなありきたりでどうしようもないラストに落ち着くとは・・・ 落胆というかなんというか、期待はずれでした。
ある人の言葉を借りるなら、「あさのあさこは少女が書けない作家」です。それは好都合だったのかも、と思います。大人の憧れる少年像が生まれたのです。バッテリーは恥ずかしがりやの大人向け萌え小説だなぁ、と思いました。いやぁ、なんだか散々なこと言ってるなぁ・・・
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