自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
連作短編集。『序』『チョコレイト甘し』『シュウクリーム危し』『アイスクリン強し』『ゼリケーキ儚し』『ワッフルス熱し』収録。
舞台は明治の東京。主人公は、皆川真次郎(ミナ)。彼は、西洋菓子屋・風琴屋を営む青年。居留地で育ったため、ピストルの扱いが上手。彼は、毎回のように厄介事を持ってくる元武士の巡査・長瀬らとともにいろんな事件を解決していきます。そして、そこにいろんな形で女学生の小泉沙羅が絡んできます。彼らの毎日には何もない日などありません・・・
それなりに面白いのですが、やっぱり畠中恵は詰めが甘いような感じがします。西洋菓子が単なる小道具と化していて、全然おいしそうではありません。
『美味礼讃』などを読んで料理人達のこだわりを知った後で、こちらを読むと、主人公真次郎が料理人として失格としか思えないです。だって、真次郎は、(諸事情あったとはいえ)急ごしらえで料理をつくってそれを出すのだから。
しかも、畠中恵は「明治時代」を書こうとしているみたいなのですが、明治期の貧困などの問題をさらっと扱っているから、「時代を包む早急な雰囲気」と、それが生み出す危険性が全く伝わってこない。
登場人物たちは多すぎてごちゃごちゃしている上に、書き込みが少なくて存在感が希薄。真次郎や巡査らは「俺ら金欠」と連呼するのですが、そのわりにはみんな根本的に裕福な中流階級の人たちだから、全然危機的に思えない。どうせ沙羅の財布があるんだし。しかも、成金の商人・小泉琢磨氏は頭良すぎ。日本は戦争に勝ったら増長するから負けた方が良い、とかそんなこと言い切れる「成金」なんてありえないだろう・・・
リアリティが感じられません。
今日読んだ本
畠中恵『アイスクリン強し』
今読んでいる本
豊田直巳『戦争を止めたい―フォトジャーナリストの見る世界』
PR
この記事にコメントする
カレンダー
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カテゴリー
ブログ内検索
最新記事
(01/04)
(02/17)
(02/16)
(09/29)
(08/06)
(08/05)
(08/05)
(08/05)
(08/05)
(08/04)
最新TB
最古記事
(08/08)
(08/08)
(08/09)
(08/09)
(08/10)
(08/11)
(08/12)
(08/12)
(08/13)
(08/13)
アクセス解析