自森人-自由の森学園の人-の読書ブログ
ノンフィクションライターの八辻由紀子は、UFOに心惹かれている人たちに取材する中で、偶然限定本の『レビアタンの顎』を手に入れます。それは殺人者が自分の殺人について告白したものでした。著者は、言語に代わるものとして匂いを提示。それでもって別の形で、世界を理解することができると著者は説くのですが、八辻由紀子には新興宗教の一種としか思えませんでした。ですが、彼女はその本を手に取ってから突如として怪異に襲われるようになり・・・・・
いまいちでした。
『アロマパラノイド 偏執の芳香』は、『香水 ある人殺しの物語』という小説の二番煎じというか、劣化バージョンでしかないような気がしました。『香水 ある人殺しの物語』は、上品な文章によって狂気や錯乱、その他猥雑なものでさえも美しく見せてくれたのに、『アロマパラノイド 偏執の芳香』はただ単にごちゃごちゃです。まとまりがないし、綺麗ではありません(物語の構成はみごとにぴちりとはまっているだけど)。
とにかく、UFOだの、電波だの、インドの神話だの、いろんなものを詰め込みすぎて、匂いの物語ではなくなっていく部分が納得できませんでした。
クライマックスにおける異形同士の対決も、意味が分からないです。外国のホラー映画みたいに、化け物を退治してめでたしめでたしというのは安易ではないか。しかもその後にまだ何かありそう、と思わせぶりなシーンを挟む手法もありきたり。
まぁそれなりに面白いんだけど、そもそもホラー小説が好きではないので、あんまり楽しめなかったです。
今日読んだ本
牧野修『アロマパラノイド 偏執の芳香』
今読んでいる本
舞城王太郎『ディスコ探偵水曜日』
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